小さなMP3プレイヤーを買った。ブルースのバッキング演奏をイヤホンで聞き、アドリブをハミングしながら歩くと、なかなかいい感じだ。人の目もあるので、ニューヨーク証券市場を聞いてる風な顔をしてるつもりだが、ついつい体がスイングしてしまうのはやむを得ない。
まず、世界観が変わって見える。街の風景にBGMが流れているようなものなので、映画の主人公になった気分だ。また、曲のテンポに合わせて、足取りがしっかりしてくる。歩く速度と老化には関連性があるそうだから、実利もある。そして何より、良いフレーズが出てきたときには、思わず「イェイ!」と言いたくなるようないい気分なのだ。きっと、演奏も上達するだろうと思う。
考えてみれば、別に珍しいことをしているわけではない。ウォークマンが登場したころは、街中そんな人だらけだった。その頃と今が違うのは、youtubeなどにバック演奏のデータが山ほどあるということ。私はDのブルーズだが、大抵のポピュラー曲のバック演奏があるのではないかと思う。こういう状況は、せいぜいここ5年くらいのことではないだろうか。
別に新しいことではないのに新鮮な感じがするのは、歩行者がうつむいてスマホ画面を見る人ばかりになったからだろう。交通事故云々についても、スマホ歩きよりずっとましだと思う。
今の歌が難しすぎるので、古いスタイルのブルースならと思ってやってます。日本でいうなら、お年寄りが民謡をやるようなものですね。新しい曲は、だんだん覚えられなくなりました。昔はちょっと聞いただけで、すぐ覚えられたと思うんですが。
ブルースですか。口ずさむにはレパートリーが不足していてムリですね。カラオケでは営業用に歌謡曲ばかり歌っていましたからね。それも最近ではすっかり様変わりして早口歌詞ばかりで、中々付いていけなくなってきました。子供たちは平気で覚えて歌いますが、アニメソングあたりでもムリですね。シンガーソングライターたちも世代交代で日常会話のような、それとも意味の無い歌詞を巻き舌風に歌いますから聞き取りにくく、サッパリ覚えられません。昭和生まれには馴染めませんね。