ヴィンランド・サガは、11世紀のヴァイキングの活躍を記した英雄譚であるが、私が読んだのはそれをベースに描かれた、同名の長編マンガのほうである。2005年から少年マガジンなどで連載されてきた大河マンガである。戦争で死ねばヴァルハラ=天国に生まれ変われると信じ、命知らずで残酷な戦いを繰り広げていくヴァイキングとして生まれた主人公の少年は、戦争に参加して父を亡くし、自分も奴隷として売られる。
その経験から、主人公は戦争と奴隷のない社会をめざして、現在の北アメリカ=カナダの「ヴィンランド」を目指し、一族を率いて航海に出る。コロンブスのアメリカ大陸上陸の500年前の出来事で、大筋は史実に基づいている。途中で巻き起こる種族同士やデンマーク軍との戦い、たどり着いた新天地での原住民との葛藤など、壮大で骨太なストーリーだ。こういう歴史の教科書には出て来ないが重要な出来事が、自然に頭に入ってくるのがマンガのいいところだ。ヴァイキングの首領からデンマークとイングランドの統一王国の王となったクヌート一世など、今では顔まで知ってる(?)。