米露開戦/トム・クランシー

GW中に、今のご時世にピッタリのハイテクサスペンス「米露開戦」(トム・クランシー著)を読んだ。タイトルは米露とあるが、邦題は日本の出版社の創作で、ロシアのウクライナ侵攻を撤回させて米露開戦を未然に防ぐ話である。もちろんフィクションもいいところで、ロシアはボロディン大統領、アメリカは、なんと著者のデビュー作「レッドオクトーバーを追え!」の主人公、ジャック・ライアンが、大統領になっている。

トム・クランシーといえば、リアルなハイテク軍事知識に基づいた国際サスペンスという、新しいジャンルを切り開いた作家で、軍事関係者にも愛読者が多い。フィクションながら、国際政治に今何が起こっていて今後何が起こりうるか、読者に考えさせる作品が多い。初版は2013年で、これが作者の遺作となったが、翌年には果たしてロシアのクリミア半島侵攻が始まっている。

作者はアメリカ人だけあって、”ボロディン大統領”に対する強い警戒感や忌避感が伝わってくる。とりわけロシア系マフィアとのつながりなどは、これはフィクションといい聞かせながら読まなければならなかったほどだ。

2 thoughts on “米露開戦/トム・クランシー

  • 6月 5, 2022 at 09:03
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    仮想敵国として読者や視聴者に判断させる事の多い我が国の創作に比べて、米国の場合はハッキリ国名を出して平気で映画なども制作し公開しますから驚きますね。それも真に迫っていますからハンパな情報収集ではなく事実に近いものが有りますね。むしろ読んだり観たりする私たちの方がドキドキしてしまいます。仮想ではなく実際の敵国からは一体どのように見られているのでしょうね。

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    • 6月 5, 2022 at 10:02
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      この作品も両国の大統領以外は、国名も政府の組織名、企業名も実在のものでした。このジャンルはソ連が崩壊したせいで、魅力的な悪役がいなくなりました。代わりにアラブのテロ組織や中国などが登場し、経済絶頂期には日本の大企業なども抜擢されましたが、そっちがわに立たされてみると、さすがに現実味なさすぎでしたね。

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