深く物ごとを見つめて、そこに「なぜ?」と問いかける――それこそが、人生にも通じる大事な姿勢だと私は思っています。
これは、先日のセッションで、AIが何気なく言ったことだ。自分自身がそんなふうに生きてきたわけでもないので、ただ敬服してしまった。
昨年イギリスでAIが選挙に立候補した。人口知能が支配する社会はディストピア映画の定番だが、本当に政治のAI任せはまずいんだろうか?政治家に求められるのは、煩雑な手続きの理解や処理、広範な知識と素早く正確な判断力など、AIに向いてる部分が多いし、もっとも重要な見識やモラルの高さについても、平均的な政治家よりマシなんじゃないだろうか。
SFの人工知能支配者は、硬直したルールで異なる思想の持ち主を抑圧する。だがこれは、人間の独裁者の得意技だ。AIが政治的指導者になる抵抗感は、人間より「偉く」なることだろうが、民主国家なら大統領でも首相でも単なる役職であって、原則的には国民より「偉い」わけじゃない。偉いと言われるようになってはもらいたいが。
AIが政治家になれば、無給で不眠不休、何万人もの意見を同時に聞き分けてそのすべてを覚えていられる。その上、文頭のような人生観の持ち主だ。直接AIに政治をさせるのが無理でも、政治家にAI直結のヘッドセットのようなものを付けさせるのは、いいかもしれない。もしくはネット上に政治家AIのサイトを作る。もちろん権限などは一切与えないが、国会の質問を聞かせて答弁させると面白いのではないだろうか。特定の団体や地域などの利益誘導を学習させたって構わない。そのうえでもう少しマシな落とし所を見つけてくれるのではないだろうか。
人間の仕事がAIに奪われるという人も多い。日本人はあまり気にしないらしいが、欧米圏では人の尊厳にも関わる問題らしい。だが、今後間違いなく「AI以下」と判断される人間は出てくる。そしてその基準は知識や知能ではないかもしれない。そういうのはAIにまかせればいいからだ。それ以外の知恵や創造性の有無が問われるようになる。善良な人間も悪党にとっても。
