昔から色彩感覚に自信がない。特に、海外の雑誌や工業製品などの色使いを見るたび、到底マネのできないと思っていた。ネット時代になって世界中のサイトを見てなおその思いを強くしたのだが、ある日、上質なウェブサイトの画像やテキストから色だけの短冊を作って色見本とする分には、権利関係に触れずに洒落た配色の作品ができることに気がついた。

これはうまい手口で、特に最初から使う写真が決まってる場合は、写真からピックアップした色で背景や文字色を指定すると、自分作とは思えない気の利いた配色になった。これは大変な発見だと思って秘密にしていたが、早晩誰でも思いつくことなので、そのうちごくありふれた手法になった。自分で思いついたところは我ながら大したものだとは思うが。
こんなことに労力をかけていた理由は、その昔に「ブラウザセーフ」という考え方があったから。PC上で、PGBの組み合わせで作れる色数は約1677万色もあるが、人間の目で識別できるのは4000色ほど。その中で、ブラウザが変わると色合いが変わってしまうものを除いた216色を使うのが望ましいという考え方があった。そんな制約の下でも洒落た配色をする人はいるが、自分ではムリなのでマネしてしまおうということである。
今ではあまり気にされないようだが、色彩感覚を磨きたいという人は、いろいろなサイトからカラーパレットを作ってみるのもいいかもしれない。

カラー配色は大阪時代にカネボウ本社の意匠部の外注先アトリエで毎日のように仕事で盛んにしていました。仕事内容は世界各国向けリゾートウエアのデザインと、それぞれの系統色を考える仕事でした。例えば同じ柄でもゴールド系とかブルー系とかグリーン系とかレッド系とかですがさらにパステル調だとか色々ですね。カネボウ本社の意匠部には各国のバイヤーが採用されたデザインを見に来て買い付けるとカネボウで大量にプリント(布)原反でプリントして各国宛に送ります。その原反を使って縫製しリゾートウエアに製品化するとリボンタックを縫い込むと全て外国製になり、日本人でも海外旅行でお土産に買って来ます。原画は日本製なんですがね。大阪なら梅田のブティックのウインドウに輸入品として飾られていても、私には国産の配色絵柄だと分かって居ました。それらとは逆でフランスやイタリーの著名なデザイナーたちのブティックでカネボウの海外担当が買い付けたデザイン原画も預かって日本の染色機の1リピートにサイズを合わす為の同じ色彩の部分足し作業もありました。外人の色使いとその素材調べは突き詰めるまで大変でした。例えばクリスチャンディオールのデザインを預かっても先ず原画が何に描かれているかを調べなければ同じ色合いが出ません。何度も何度も素材の紙の種類から絵具の果てまで調べる作業に手間取り、最後は自分の目で合わせるのですが試しに塗った素材の切れ端と原画を並べて目を細めて馴染んでいるかを判定します。が殆ど職人芸でした。或る時には原画ではなく布製品化されたものを渡されて色合わせなど布対紙に塗布した絵具ですから大変でした。そんな事を4年余りしていましたが、毎日が勉強でした。と言っても毎日、大先生の仕上げデザインの余分な耳をカットするのも私の仕事でしたから不要な部分を一旦ゴミ箱に捨てる中から選んで持ち帰りスクラップして覚えました。絵具の種類と色使いや紙など材料の選択にも相当な熟練が必要ですから、内緒でこっそり盗んでいましたね。しかしそんな事も今では全てがPC作業になり勝手が違いますが、色の組み合わせの勉強は多少なりとも身に着いたのではと思いますね。
CGの世界でも、昔は色にシビアでした。モニター画面は機種によって発色が違うので、デジタル現像所の出してるカラーチャートを見て、調整してから使ってました。今だと家電店で買ってきたものをそのまま使ってる人もいるでしょうね。