タイトル画像の話 / ペニー・ファージング型自転車

アンティークのカード整理棚を作り、アクセントとして、レトロなイラストなどでよく見るペニー・ファージング型自転車(※)を置いてみた。

自転車はすぐできたが、乗せた人形が少々やっかいで、ポーズをとらせようとすると複雑骨折になった。CGのキャラクターを歩かせたりする場合にはIKという専用の技術があるのだが、設定するのがやっかいなので、人形アニメよろしく手足を少しずつ動かしながらポーズを作った。特に説明することはないので、制作中にAIで調べた「ペニー・ファージング型自転車」に関するマメ知識を紹介しよう。

ペニー・ファージング型自転車(Penny Farthing)」は、1870年のイギリスで、「自転車の父」と称されるジェームズ・スターリー(James Starley)によって発明された「アリエル(Ariel)」というモデルが前身。ペニー・ファージングの名は後年に付けられたもので、前輪(ペニー硬貨)と後輪(ファージング硬貨)の大きさの違いが、これら2つの硬貨を並べた様子に似ていることによる。誕生後約15~30年間、主に貴族などのスポーツ感覚の乗り物として普及した。

特異な形状になった理由は以下の通り。
1. 速度を上げるため
チェーン駆動がなくペダルが前輪に直接つながっていたため、1回のペダル回転で進む距離(いわゆる「ギア比」)は、車輪の直径に依存していた。そこで 前輪を大きくすることで、ペダルを1回転させるごとに進む距離を増やし、速度を上げることができた。
2. スムーズな乗り心地のため
19世紀の道路は舗装が不十分で、デコボコが多かった。そこで大きな車輪で路面の凹凸を乗り越え、路面の振動を吸収して、よりスムーズな乗り心地を提供できた。
3. 技術的制約
チェーンやギアの技術が発展していなかったため、直接駆動が主流だった。

問題点
前輪が大きすぎるため、転倒すると高い位置から落下する危険があった(特に「前方転倒」)。 操作が難しく、バランスを取るのが大変だった。
その後登場した、チェーン駆動による現代の自転車に近いタイプが登場したとき、「セーフティ自転車」と名づけられたことからも、「ペニー・ファージング型自転車」が危険だったことがわかる。

参考資料:ペニー・ファージングの主な製造メーカー
オードリー・アンド・ガスター(Ordinary & Gaster)
イギリスの自転車メーカーで、ペニー・ファージングの初期の設計を手掛けた。初期のデザインは、他のメーカーに影響を与える重要な役割を果たした。
スターリー&アーチャー(Starley & Archer)
イギリスのジョン・ケンプ・スターリーが設立したメーカー。スターリーは、後に「セーフティ自転車」の設計で有名になり、自転車業界全体に大きな影響を与えた。 ペニー・ファージング時代にも影響力を持つメーカーの1つ。
ロジャース(Rudge)
イギリスの老舗自転車メーカー。高品質のペニー・ファージング自転車を製造し、特に上流階級の顧客に人気があった。後のロードバイクやスポーツバイクの設計にも関わる、名の知れたメーカー。
ハンバー(Humber)
1868年に設立されたイギリスの自転車メーカー。ペニー・ファージングを製造した後、セーフティ自転車や近代的な自転車の開発に移行した。高品質な製品で知られ、幅広いラインナップを持つメーカー。
コヴィントン(Coventry Machinists Company)
イギリスのコヴェントリーを拠点とするメーカー。ペニー・ファージング自転車を量産した最初のメーカーの1つ。広範囲に普及させる役割を担った。技術革新と競争力のある価格設定で、当時の市場をリードした。
ポープ・マニュファクチャリング・カンパニー(Pope Manufacturing Company)
アメリカのメーカーで、ペニー・ファージング型自転車の輸入・製造を行った。創設者のアルバート・ポープは、アメリカにおける自転車産業の発展を推進し、特許管理や市場拡大に大きく貢献した。
その他のメーカー
メーカー名は地域ごとに異なり、多くの中小メーカーが存在していた。特にイギリスとフランスがペニー・ファージング製造の中心地でしたが、アメリカやドイツなどでも製造された。


2 thoughts on “タイトル画像の話 / ペニー・ファージング型自転車

  • 1月 5, 2025 at 07:18
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    ペニー・ファージング型は車輪比がコインの大小に例えられ命名されたとは知りませんでした。セーフティ自転車の時代に至るまでの間、この型の自転車が往来していた訳ですね。見ただけでも乗り難そうですね。自転車と言えば、昨日、リサイクルショップで折り畳み自転車を買い取って貰いましたが、何とネットで購入した未使用車が4万円弱がたったが5千5百円でした。でも乗らないので処分しました。乗らない理由は、車のトランクに積んでも嵩張って重く、乗るまでの操作も面倒で、肝心の乗り心地も不安定で危険だからです。ペダルも折りたため、変速ギヤも数段あり、ネットで見て気に入ったものの、自転車公園でのテスト・ランで、年齢的な運動不足もあり、不安定さを感じて、乗るのを辞めました。折り畳み自転車は便利さより、安全性も大切ですね。つまりはセーフティー・バイシクルですね。

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    • 1月 5, 2025 at 08:58
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      この自転車は、確か脚立に登って乗ったはずで、実際に乗ったらさぞかし怖いだろうと思います。折りたたみ自転車は確かに重いですね。細身のスポーティな自転車を肩に担いでいる人がいますが、あのほうが手軽かもしれません。それでも、手軽に運んで現地で乗りこなすというのは魅力で、もう少し若い世代に生まれていたら、キックボードに乗っていたかもしれないくらいです。今やったら転倒して打ちどころが悪くて...ということも。ネットで年寄りの冷水を笑われるところまで見えてますからね。

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