西安の朝市

中国西安の朝市風景。私は魚市場の近くで育ったので、こういう風景は馴染み深く懐かしい。その市場は今では観光地化して、長年買い物をしたこともないが、どうやら日本中の有名な市場も同様らしい。観光資源とは自然や遺跡そのものではなく、それらのある環境で培われてきた生活文化そのものを指す。メディア生まれのキャラクターがついた、中国製のファンシーグッズが並んでるだけでは観光地とさえ言えない。
一方昔ながらの市場には実にいろいろな商品がある。同じ野菜でも品種が豊富で、売れ筋管理されたスーパーとは一味違う。そんなことを考えながらこの動画をみていると、どうも不思議な点に気がついた。

西安といえば人口1300万人、中国屈指の大都市だ。動画でも高いビルが映っているが、そんな環境でなぜこんな大規模な青空市場が残っているのだろう。我々はなんでもスーパーで買う生活になり、生活市場は淘汰されてしまった。生産から販売まで、効率的で衛生的、価格競争力もある流通システムに叶わなかったからだが、なぜ中国ではそうならなかったのか?それとも中国も基本はスーパーで、市場には昔気質の業者や客が集まっているのか。それにしては規模が大きく廃れる気配すらないが。

大都市でも大規模な露天の市場が残っている理由は、庶民の気質が関係しているという。日本人なら、大手の工場製は衛生的で安全と考えるが、中国人は自分の目に見えない場所で梱包までされてきたものを信じないのだそうだ。だから眼の前に積まれ、手にとって確かめたもの、その場で調理されたものを好むので、こういう市場が廃れないのだそうだ。

そこで昔あった中国製毒入り餃子事件を思い出した。それまでの中国製食品は、日中国交回復・友好がムードが残っていたせいか、大工場の衛生管理と大勢の人の手による手作りの良さを兼ね備えているイメージがあった。それがぶち壊しになった訳だが、単に異常者による犯行ではなく、工場の経営者に対立する一派が、対外的な不祥事を起こして営業不能に陥れてしまおうとしたものだったらしい。
競争相手の足を引っ張るために、国の威信や生命に関わる悪事も行う。大きな組織や事業者にはそういう一面があり、被害は庶民が被る。数千年の歴史でそれが身についていることも、大工場の製品を信じない理由のひとつらしい。

先日中国政府は、月餅の過剰包装を規制する法令を出した。中国政府が民間の生活に口を出す時は、過熱しすぎていることが多いそうだが、月餅も200万円もするものがやり取りされる、過剰な贈答慣習に対するものだったらしい。月餅は、中国のお中元にあたる中秋の代表的な贈答品で、これを贈らないと取引停止されたり、上司の覚えが悪くなる。なので月餅だけでなく燕の巣、フカヒレ、ナマコなどの高級食材とセットにし、さらに貴金属製の容器に入れたものまで出てきて、それが200万円にもなったようだ。

そんな状況で、月餅を食べたい庶民はどうするか。ああ、だから市場で買うのか。

2 thoughts on “西安の朝市

  • 10月 13, 2025 at 06:40
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    市場と言えば小樽の市場は多いですね。我が家でも本州の親戚縁者へのお歳暮には小樽の市場で買った鮭や帆立や筋子などを購入して来て贈ったものです。最近では親戚づきあいも遠のいてしまいましたが、当時は十勝は大正農協のメークインや札幌山口のブランドのミヤコカボチャなども喜ばれました。これも、考えて見ればスーパーやデパートでギフトコーナーから伝票一枚でお金を払って贈るのではなく、先ずは我が家で味見をして間違いのないモノを送っていた訳ですから中国人と全く同じ考えだった訳です。今でもミヤコカボチャの本物を扱う店に行き一個買い、味試しに食べてビックリ!不味かったのには驚きました。今夏は猛暑ばかりで夜間も暑かったせいでかガッカリしました。一方、大正産メークインも小箱入りが1500円程で札幌市内でも出回って居ますが?果たして?農産物は天候の影響も影響しますから購入を見合わせました。長沼の農家の社長も今年はジャガイモも提供できないと言って来ました。市場もそうですが、売り場にもよりけりですが信頼できる専門的アドバイスを受けられるのも大型店との違いでしすね。小樽や函館の市場は活気が有りますね。或る友人と函館に行った時、朝市で売り場のオバちゃんに声を掛けられ『お兄さん!メロン買って行かない?安くするよ!』と。咄嗟に『あぁ悪いね~せっかくだけどさぁ、さっき買ったばっかりなのさぁ~じゃぁまたね』こんな会話も有りです。

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    • 10月 13, 2025 at 09:25
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      昔の北海道には全国に通用する老舗や名店がなかったので、贈答シーズンに返礼品がなくて困っていましたが、生鮮品の本州送りが始まって大助かりでした。あるときセットの中にカボチャがあったのでこんなのでもいいのか心配でしたが、後日先方から年寄りがどうしても言うので、もっとカボチャを送ってくれと言われました。知人たちも皆贈答品に困っていたので、さっそく「カボチャもイケる」という情報を共有しました。沖縄は温度が高すぎてアスパラが木になるので植えられない。なので送ると非常に喜ばれる、という情報もその時期に知りました。イクラの醤油漬けも大好評です。送る相手を選ぶでしょうけど、自家製のもの。道外で出回っているメーカーものは、我々の知ってるのとはだいぶ違うようです。

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