運び屋

2018年封切りの、クリント・イーストウッド主演・監督映画。90歳の麻薬の運び屋の実話に基づいた作品で、主人公は87歳のイーストウッドが演じている。
クリント・イーストウッドと言えば、我々の世代だとマカロニ・ウェスタンやダーティハリーを真っ先に思い出すが、その後の監督業で、アカデミー受賞2作を含む数々の名作を生み出している。音楽監督、作曲家としても活躍していて、まさに映画界の巨人だ。

もちろん大好きな監督なのだが、映画作りが上手すぎて、作品世界に没入させられてしまうので、気力体力が充実してないと見られない。監督第一作の「恐怖のメロディ」からして、世の中にストーカーという言葉すらなかった時代に、DJファンの妄執のすさまじさを見せつけられてトラウマになってしまった。

その「運び屋」だが、主人公は90歳の農園主で、家族より仕事や仲間との交際を重んじて過程を顧みず、妻子からあいそをつかされて独居生活。そのうえインターネット時代に乗り遅れて農園が立ち行かなくなってしまう。そのうえ麻薬組織からの誘いに乗って、運び屋を始めることになる。思わぬ大金を手にしてすべてがうまく回り始めるが、当然見ている方は、悪い予感しかしない。

ところがそこからがこの作品の真骨頂で、予想通りのバッドエンディングながら、「何歳になってもゼロからやりなおせる、したたかな人間の物語」を観たような爽快さを感じさせてくれる。映画評の中には、齢をとって動作が衰えたイーストウッドが痛々しい、という声もあるが、それも90歳の演技をしていただけで、本人はまだまだしゃきっとしているらしい。「ミリオンダラーベイビー」でアカデミー最高齢受賞の記録を作ったのも、すでに15年前。なんと今年も「The Ballad of Richard Jewell」という監督作品が公開されるらしい。

3 thoughts on “運び屋

  • 10月 17, 2019 at 11:08
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    作曲?もですか?。もちろん自分の出演作や監督作品の為でしょう?。

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    • 10月 17, 2019 at 13:35
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      レイ・チャールズのための曲なども作ってるようですが、基本は自分の監督作のためのようですね。若い頃はピアノバーでアルバイトしてたらしいし、お金をかけないで映画をつくることでも知られてますから、節約のためかもしれません。それでアカデミーを2回もとってるんですから、スター性とクリエイティブと職人気質を、全部もってるような人ですね。

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  • 10月 17, 2019 at 11:06
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    大好きなスターですね。先日もマカロニ・ウエスタンを有線で見ました。外国の俳優は皺クチャもカッコいいですよね。ちょい悪の善人役ですね。

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