レッドワン(2024年米映画)

主演はスコーピオン・キングのドウェイン・ジョンソン。キャプテン・アメリカのクリス・エバンス演じる、少々性根の腐った小悪党ハッカーと凸凹コンビで、さらわれたサンタクロースを救出する物語。クリスマスにふさわしい、賑やかでハートウォーミングなファンタジック・アクション・コメディだ。

サンタクロースを演じるのは「セッション」のJ.K.シモンズ。陽気で包容力に富んだというステレオタイプではない、パワーと叡智を兼ね備えた現代のビジネスリーダーのようなサンタを演じる。セリフが良く練られていて、現場のトップを長く続けてきた人間ならではの、含蓄に富んだやり取りが印象的だ。サンタの拠点では、魔法とテクノロジーが融合した一大システムが、一晩のうちに世界中の子供にプレゼントを配るという、「困難な物流の課題」を解決している。大人が観てもニヤっとするようなくすぐりが随所に仕込まれていて楽しい。

悪い子を罰したり連れ去ると言われる、クランプスやグリラなど、クリスマスに関わる古いヨーロッパの伝説たちも登場。息もつかせぬアクションを通じて、主人公たちは失われつつあった仕事への情熱や、親子の絆までをもとりもどす。きれいにまとまったハッピーエンドが心地よい、ハリウッドならではの快作だ。

MOVIE BOOBY / 映画カテゴリーを立ててみた

映画の感想を書いたブログはたくさんあるので、このジャンルでは、気が向いたら書く程度にしてきたが、数えてみるとけっこうな本数になっていたので、「映画」カテゴリーを立てることにし、リンク用のバナーも作った。カテゴリー名は「映画」なのに、バナー表示は「MOVIE BOOBY」である。BOOBYの語源は

  • アオアシカツオドリ。カモメに似ていて、水かきが青い
  • 「まぬけ」の意。軍事用語で、ブービートラップ(間抜け落とし)はワイヤーなどを使って簡単に作った罠
  • ゴルフなどの競技で、最下位から二番目のこと

などだが、今回のは単なる語呂合わせである。

ちなみに、ブログ記事のカテゴリー立てはアクセス向上に効果的だ。記事の公開の際、「未分類」のままにしたり、サブタイトルでもつけるような安直さでつけてしまうことも多いが、同一カテゴリーの他の記事を読んでもらいやすくなる。また、検索キーワードとしても、カテゴリー名になっていたほうが強いようなのだ。なので、せっかく多くの記事を書いてカテゴリー名を「未分類」のままにしておくのはもったいない話だ。旧記事に手をいれるのはおっくうだが、WORDPRESSならクイック編集で片っ端から変更できる。また、旧記事に手を入れるだけでも更新実績になるのではないかと思う。
カテゴリー名は具体的、即物的なほうがいいが、バナーでは言葉も変えて少し演出を施したわけだが、これが思惑通りになるかまぎらわしく思われるか楽しみだ。

赤い闇 スターリンの冷たい大地で 

1930年代の世界恐慌の最中、ソ連だけが驚異的な経済成長を遂げていることに疑問を感じたジャーナリストが、禁じられたウクライナへの取材を強行。多くの農産物が強制的に徴発され、人為的な飢餓が発生している現実を知る。2022年公開の、実話に基づく映画で、ウクライナ、ポーランド、イギリス共同制作。
あまり後味の悪い映画だったらいやなので敬遠していたが、ショッキングなシーンもあったものの、当時の町並みやファッションを丁寧に再現した美しい映像が印象的な良作だった。

共同制作に加わったポーランドという国は、第二次大戦初期に、ナチスドイツと密約を結んだソ連から同時に侵攻を受け、早期に降伏せざるを得ず、その結果アウシュビッツ強制収容所を設置されてしまい、また、多くのポーランド人がソ連に強制移住させられた。抵抗し続けていなければ、本当の迫害は降伏した後から始まることを知る国が共同制作した理由がわかる気がする。
ポーランドはロシアとは国境を接していないが、現在のウクライナ戦争でロシアが勝てば、ウクライナ軍がすべてロシア軍になり、ロシアが隣国になってしまう。そして、コメディアン出身でスキャンダルの噂もあったゼレンスキー大統領が、意外にも踏みとどまって抗戦を宣言し、講和にも応じないのも、ウクライナ人なら他の道はないのかも知れない。映画を見ながら、そんなことを考えた。