ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り

2023年アメリカ映画。テーブルトークRPGの原点にしてその後のゲームやファンタジー映画に多大な影響を与えた古典的名作、「Dungeons & Dragons」の映画化ということで大いに期待して観たが、期待以上の出来だった。
舞台は剣と魔法の世界で、主人公はこそ泥兼業の吟遊詩人。自らの盗みが原因で死なせた妻を蘇らせ、離れていった娘の信頼を取り戻すため、同じように脛に傷を持つ仲間とともに、危険な旅に出かける。

子供向けとまでは言えないが、わかりやすいストーリーにファンタジックな映像とアクションで、申し分のない出来だ。アクション・シーンというのは二番煎じがすぐ飽きられるので工夫のいる部分だが、ここでは中世世界の室内や調度を活かしたユニークなものになっている。魔法の表現も、指先から炎が出るだけのような作品が多い中、いかにも「摩訶不思議」な現象の表現に成功している。制作陣のイマジネーションの豊かさを感じさせる。
ハリー・ポッターや指輪物語などの名作ファンタジーも、続編になるにつれて水増し感があったが、久しぶりに密度の濃い作品に出会えた。

クリスマス・ウォーズ

2020年、アメリカ映画。メル・ギブソンが経営難に苦しむサンタクロースを演じる、ブラックなコメディ作品。年々良い子が少なくなってプレゼントの配達数が減り、実績の歩合で契約した合衆国政府からの支払いでは経営が苦しくなったサンタは、いやいやながらプレゼントの製造工場で、米軍の戦闘機の部品づくりを請け負う。兵隊が駐在するようになった工場に、サンタ暗殺を狙う殺し屋(ウォルトン・ゴギンズ)が潜入してくる。
厳重な警備の秘密基地に単独潜入し、警備員を次々と倒しながらターゲットに接近をはかる。ハードなアクションものによくあるシーンだが、本作でそれをするのは殺し屋のほう。けっこう長いハラハラシーンが続くので、つい応援しそうになる。最後はラスボス(?)、サンタとの壮絶ガン・アクション。メル・ギブソンが、満身創痍で真骨頂発揮である。

クリスマスと戦争をくっつけたタイトルはアメリカ的にはまずいんじゃないかと思ったら、原題は「FATMAN(太った人)」。クリスマスになると何故か良い子にプレゼントを配る太った人。見返してないからはっきりしないが、サンタとは一言も言ってないような気がする。黒人の妻との”事後”シーンがあるなど、いろいろとスリリングなシーンもあって楽しい。

レッドワン(2024年米映画)

主演はスコーピオン・キングのドウェイン・ジョンソン。キャプテン・アメリカのクリス・エバンス演じる、少々性根の腐った小悪党ハッカーと凸凹コンビで、さらわれたサンタクロースを救出する物語。クリスマスにふさわしい、賑やかでハートウォーミングなファンタジック・アクション・コメディだ。

サンタクロースを演じるのは「セッション」のJ.K.シモンズ。陽気で包容力に富んだというステレオタイプではない、パワーと叡智を兼ね備えた現代のビジネスリーダーのようなサンタを演じる。セリフが良く練られていて、現場のトップを長く続けてきた人間ならではの、含蓄に富んだやり取りが印象的だ。サンタの拠点では、魔法とテクノロジーが融合した一大システムが、一晩のうちに世界中の子供にプレゼントを配るという、「困難な物流の課題」を解決している。大人が観てもニヤっとするようなくすぐりが随所に仕込まれていて楽しい。

悪い子を罰したり連れ去ると言われる、クランプスやグリラなど、クリスマスに関わる古いヨーロッパの伝説たちも登場。息もつかせぬアクションを通じて、主人公たちは失われつつあった仕事への情熱や、親子の絆までをもとりもどす。きれいにまとまったハッピーエンドが心地よい、ハリウッドならではの快作だ。