10月9日はレイフ・エリクソン・デー

レイフ・エリクソンは11世紀のアイスランドのヴァイキング。クリストファー・コロンブスの「新大陸発見」の500年以上前、ヨーロッパ大陸から海を渡って、はじめてアメリカ大陸に上陸した人物である。このことはヴァイキングの英雄譚ヴィンランド・サガに記されているほか、カナダからは当時のヴァイキング集落の遺跡も発見されていることから、現在では史実とされている。
ヴァイキングといえば侵略と略奪に明け暮れる荒々しい海賊のイメージだが、そういう面もあったとはいうものの、実態は「海洋交易商人」だったらしい。そういう挑戦的な商人が、ヴィンランド(ワインの豊かな土地)を目指したのである。

エリクソンとコロンブスは、500年もの時代の違いもあり、その業績を単純に比較できない。特に到着した土地がどれほど大きな大陸だったのかについては、当人にも把握できなかっただろう。むしろ新航路の発見に意味があったはずだ。その点、平面の地図ではわかりにくい実際の距離関係がつかみやすいGoogleのマップで見ると航海の概要が見えてくる。例えば、エリクソンはアイスランドで生まれ、グリーンランドに教会を建てるなど、航海以前にすでにヨーロッパよりカナダに近い地域を行き来している。上陸したとされるカナダ北部のラブラドル半島は、それほど無理なく到着できる場所のように見える。それに比べればコロンブスの場合は、スペインからフロリダ半島の南端まで、大西洋の一番距離のある場所同士を突っ切ったような航海だ。一番乗りとは言えないだけで、大型航路の最初の開拓者であることに変わりはない。

コロンブスがアメリカ大陸の発見者とは言えないことは、1874年にアメリカのラスムス・B・アンダーソンによって発表され、1964年には、アメリカ議会でもレイフ・エリクソン・デーが制定された。とはいえ、レイフ・エリクソンデーは、コロンブス・デーほど認知されていないようで、画像検索しても記念セレモニーや行事の様子ではなく、ノルウェーなどにあるエリクソン像がほとんどである。ちなみに銅像は柄の長い戦斧を持ってはいるが、ヴァイキングの象徴ともいえる角の生えた兜や丸い木の盾は身につけていない。あれはもっと時代が降ったころのヴァイキングの末裔の中の、ごく一部の種族の姿らしい。

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