ブリッジを削る!

ブリッジを削ってみることにした.そういう場合は,今あるものに手を加えるのではなく,新品を好きな形に仕上げるものらしい.購入は例によってアマゾンで,2個620円.バイオリンに合わせて,最安値に近いものを選んだが,高いものも何万もするというわけではないらしい.新しいブリッジは,仕上がりサイズに比べてずいぶん大きい.脚部の裏の,バイオリンに密着する部分も平らだ.

最初に削るのは脚部の裏の,いわば「靴底」に当たる部分.バイオリンの胴の曲面に合わせて,置いた時に密着するように,また振動が伝わりやすいように,かなり薄くなるまで削る.また,仕上がりによってはブリッジが前後に傾いてしまう上,弦の振動がうまく胴に伝わらないそうだ.

白引(または柿引)
白引(または柿引)

刃物は「白引」というものを使った.カッターや彫刻刀は刃自体も,柄への取り付け具合も華奢すぎるが,これならある程度力のかかる細かい作業も大丈夫.長さは20センチほどで,切り出しほど刃角が鋭利でないところもいい.

白引は指物師が使う道具で,削るというより線を引く道具.精密な細工の寸法取りには鉛筆の線などでは太すぎるため,これで線を引くという.これをネットで調べるとお値段なんと6千円!いやいや,近くの金物屋の不良在庫だから,私が買ったのはせいぜい数百円というところ.実用刃物になんでもかんでも名人誰兵衛作と名づけてぼったくるのはいかがなものか.

次回「ブリッジを削ってみた」(12/25 AM0:00公開予定)
乞うご期待!

ブリッジを削るぞ!

バイオリンはどこが難しい?」という記事でも触れたが、バイオリンの弦は山なりに貼ってある.隣の弦と一緒に弾いてしまわないためだが,これをもっと山なりにすれば隣に引っ掛けなくなるのではないか.それにはブリッジを削る必要がある.
ブリッジは弦の振動を胴に伝える重要な役割を果たす部品で,非常にデリケートな調整が必要だという.値段は数百円からと高くはないが,プレイヤーの好みやバイオリンの形に合わせるよう,削る前の状態で売っている.そして,ブリッジの削りは自分でやらず楽器店に任せるというのが,初心者の心得らしい.


だがこんな動画を見つけてしまったら,自分でもやってみたくなるじゃないか.演奏技術の問題を,練習ではなく道具の改良でなんとかしようとするだろう.だが,自慢じゃないがこうした工作なら,バイオリン演奏より自信がある.日本人ならそういう人は多いのではないだろうか.
動画で一番感心したのは,メープルというブリッジの素材の削り心地の良さそうなところ.あんなに小さくて薄いのに,木目に沿って割れたりしない.削り面も毛羽立ったりせずになめらかだ.刃物の良し悪しや腕もあるだろうけど,あんなにスムーズに削れるなら,演奏ではなく,ブリッジ削りが趣味になってしまってもぜんぜん構わないくらいだ.
で,結局やることにした.「バイオリンは楽しいか?」で書いたように,弱音器をつけたり外したりしているうちに,動かして自分で置き直したりしたので毒皿ということで.

次回「ブリッジを削る」(12/20 AM0:00公開予定)
乞うご期待!

バイオリンは合奏向き

楽器には,合奏しやすいものとしにくいものがあると思う,近代的な工場で作られる現代の楽器は,最初からきちんと調律されて出荷されるが,それより前の時代では,例えば笛,木琴,ハーモニカなどは,違う工房で作られた楽器同士は,合奏出来なかったかもしれない.昔ながらの民族音楽では,音階の出る楽器は1台だけという編成が多いように思う.

日本で数少ないガーナの木琴奏者の方に,音階のある木琴の合奏はどうするか尋ねたことがある.答えは基本的に合奏はしない.メロディ楽器は太鼓やベルなど,パーカッション楽器と合奏することはあるが,木琴同士では調律が合わないのでやらないそうだ.どうしてもという場合は,プレイヤーは大抵その楽器の製作者でもあるので,音程を合わせた木琴を同時に2台作るのだそうだ.なるほど.

バイオリン(やビオラ,チェロなど)は,調律のきかない楽器に合わせることができ,何台でも投入できる.だからオーケストラでは,昔から多数のバイオリン類の弦楽器を使うのだろう.個人で合奏する時も,ピアノやアコーディオン,ハーモニカなどにすぐ合わせられるのは,バイオリンの良さだろう.

次回「ブリッジを削るぞ!」(12/12 AM0:05公開予定)
乞うご期待!