最近スーパーに行くと、普通の買い物かごのそばに、小さな子供用のカゴが置いてある。親のマネをしたがる子供のために、一緒に買い物を楽しめるようにというアイデアである。➀
という建前の、子供が勝手にお菓子をカゴに入れてしまうようにそそのかすアイデアだ。➁
マーケティングの面からいうと、➀のようなアイデアを表向きのコンセプト、➁のようなものをインナーコンセプトという。法律に反してはいないが、露見したら消費者が一斉にひくような悪企みのことである。
私はこういうアイデアが大好きだし、仕事でも常にこういうものを考え出すよう努力している。だが、一消費者としては少々業腹なので、スーパーの買い物の時は、なるべく子供用を使うことにした。
マーケ会議というのは、実にささいなことまで目を光らせて、喧々諤々の議論が起こる。子供カゴ導入にあたっては、裏表、あらゆる角度から綿密な議論が行われたに違いない。そして結局「他社がやってるから」という理由で実施される。マーケ会議とはそういうものだ。
「年寄りが、『かさばらないし、余計なものを買わなくて済む』と考えるかもしれない」
「北海道民はそういうパフォーマンスにすぐ飛びついて流行るので危険だ」
導入前にはそんな議論も当然あったはず。だから、目の前で事例が出たとき、企業はどうするか。そんなことを考えていると、ショッピングも実に楽しい。