犯罪心理検出装置

凶悪な犯罪事件が起こると、犯人を知る人の間で「まさかあの人が」という声が聞かれることが多い。いかにも温厚で社交的な隣人が、普段の様子からは想像もつかないような、残酷で陰湿な行為に及ぶというのは、決して珍しいことではない。
しかも、表には出せない醜い感情や、不道徳な欲望を抱えて生きているというのは、何も犯罪者に限ったことではない。残念ながら、我々自身にもそういう部分がないとは言えない。世にもおぞましい犯罪者となる可能性が、実は心の奥底に潜んでいるかもしれないのだ。

そんな心の暗部や、本人も気づかないような恐ろしい犯罪傾向を、一瞬に暴き出す装置がある。この分野では日本は最先端で、人工知能が登場する前から実用化されているだけでなく、すでに全国の警察や関連施設に設置されている。そして今も、多くの人間の隠れた犯罪傾向を暴き出しているが、法の壁のせいで、その情報を元に捜査などを行うことは許されていない。
告白するが、恥ずかしながら私も警察署で、その装置にかけられたことがある。結果は惨憺たるもので、自分が実はどんなに凶悪で冷酷な人間なのか、そして、いつ何時犯罪に走るかわからないような人間であることを、まざまざと見せつけられた。思い出したくもない出来事だが、社会の安全のためには必要な装置なのだ。

こうして自動車免許用写真機は、今日も現代人の醜い一面を写し続けている。

Stella by Starlight

邦題は「星影のステラ」。ヴィクター・ヤング(1899-1956)の曲で、実に多くのプレイヤーが演奏している。動画も豊富で、目移りがしそうだったが、ジョージ・ベンソンのギターとマッコイ・タイナーのトリオでの演奏を選んでみた。
マッコイ・タイナーは有名なコルトレーン・カルテットのメンバー。パブリック・ドメインの紹介ではあまり登場機会がないんじゃないかと思って選んだ。多くの音を鍵盤に叩きつけるような独特の奏法は、あまり調律されていないクラブのピアノを弾くことが多かったので、音の狂いを押し切るようなスタイルになったのだという。
ジョージ・ベンソンは、マスカレードのヒットでグラミー賞をとるなど、ポップスのプレイヤーという印象が強いが、こうして聞くと実にいい感じのジャズ・ギタリストだ。

ところで、youtubeでは、この曲のギター演奏の教則動画が多かった。ちょっとギタリストがうらやましいと思った。

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