バイオリンの運指=指使いは、なかなか難しい。どの音をどの指で押さえるか決まっているわけではなく、メロディの流れしだいで、やりやすい場合ととやりにくい場合ができる。まずいやりかただと、指がこんがらがる。
だが、それを自分で考えるのが楽しい。好きな曲を適当に選んで、動画や楽譜を探して、まずは原曲通りの調で弾いてみる。楽なものもあるが、指がこんがらがるのも多い。そこで、DやAやGなど、開放弦の調律に変調すると、指使いが楽になることがある。というか、「覚え」で適当に弾いてると、なんとなくずれていって、そのあたりに落ち着く。曲の中で開放弦を使えると、そこで指使いを「一休み」できるのがありがたい。
さらに慣れてくると、敢えて開放弦を鳴らさず、ひとつ下の弦の高い位置で押さえたほうが良い場合があることに気がつく。真ん中あたりで指を動かしている場合は、動かし方のつながりが楽になる。開放弦はコントロールできない音なので、ビブラートをかけたい場合などは、下の弦を使わざるを得ない。また、開放弦を使わなければ、全体的に高い位置で同じ指使いをするだけで、違う調に移調できる。
また、つながった音符では、ひとつひとつきちんと指を動かさずに、ちょろっとズラしたりしてしまう。そうすると指使いが一段と楽になることがある。ジャズのサックスなどは、音をひとつひとつタンギングせずにつなげて演奏して、ブルージーな雰囲気を出すことが多いが、こうするとバイオリンでも同じような効果が出る。(出たと、信じている)
クラシックの練習曲は運指の定石が決まっていて、先生につくと教えてくれるのだろうが、多分最初はそれすらも難しいだろう。決まり事ができなくてヘコむより、居直ってデタラメな指使いで試行錯誤して、するっとできるやりかたを見つけて、これだ!と自分で発見したほうが楽しい。身体に覚え込ませるだけより、自分で気づきがあったほうが、忘れにくい。
ちゃんと演奏できる人からすれば、弦楽器なんだから当たり前のことや、やっちゃいけない悪いクセを得意になって書いてるだけなんだろうが、楽しいものは楽しい。

