2020モーターショー

生まれて初めてモーターショーに行ってきた。車に興味が薄いので、モーターショーと言ってもきれいなコンパニオンがいっぱい、という軽薄な知識しかなかったが、 経費削減なのか 、実際の会場ではそれほど見かけなかった。事情通の方が一緒だったので混雑しない平日を狙って行ったのだが、休日はかなり混むそうである。今年は特に高校生を入場無料にしたらしい。昔そんなことをしたら、車目当てやコンパニオン目当てが押しかけて大変な事になっただろうが、最近は若者の車離れの心配のほうが大きいようだ。

車はわからなくてもコンセプトカーを見るのは好きで、シド・ミードの画集を持ってたりするのだが、それほど台数はなかった。突拍子もない形のはなく、今すぐ発売されても不思議がないようなものばかりだった。何十年も昔から、未来の車としてとんでもない形のものが公開されてきた。だが、今はその「未来」になったと思うのだが、いっこうにそういうのが走ってるのを見かけない。素人ながら残念に思う。

新型車の最新情報などはよくわからなかったが、ハイブリッド車による災害時の給電をアピールするところが多いのには気がついた。前回の開催は2018年の1月で、その後胆振東部地震、千葉の台風15号、大阪の21号と、災害による大規模停電が続いた後の、初めてのモーターショーである。あのときのことを思えば、どうせ買うなら、給電できるハイブリッドをと考える人は少なくないと思う。メーカーでも被災地に多数のハイブリッド・モデルを送り込んでいたらしい。そういう社会貢献+イメージアップのチャンスを見逃さないのは、いろいろな意味で頼もしい。

最近の大規模停電の頻発が、経費削減や人員不足などの構造的なものだったら困るが、ハイブリッド車が増えれば、地域社会の自衛力はその分だけ高まる。経済も回っていくだろう。そう思って、ちょっと明るい気分になれた。

李子柒 / 歌

今回の李子柒は紹介するかどうか迷った。何しろ後半が歌なのである。後日紹介しようと思うが、この動画シリーズは模倣サイトもかなり多い。そこらへんとの差別化か。それとも誰かが言ってたように、厚化粧になってきたこともあるので、何かのあせりから血迷ったのか。農業と食がメインだが、実は歌も歌える…って、どこかで聞いたことがあるぞ。

この狙いがあたってさらにファンの心を鷲掴みにするか、凋落のきっかけになってしまうか、私自身はこういう「やらかしちゃった」後、どうなるかが楽しみだ。

ともあれ前半は、大晦日にアップした動画だからか、調理シーンでこれまでにも増して鮮やかな手並みを見せてくれる。中国は旧正月だから、大晦日は関係ないかもしれないが。
肉や野菜を下ごしらえして、ジンギスカンに似た、よくわからない鍋で焼いていく。解説では貴州省の火鍋について触れていたが、画像検索しても、我々の知ってる煮込み鍋が出てくるだけで、こういう変わった鍋は見つからなかった。
この鍋でまず唐辛子を乾煎りしてすりつぶし、塩と混ぜて薬味を作る。うーむ、これからは塩山椒でもレモン塩でもなく、唐辛子塩だな。上部のお椀状のところで鶏の皮から脂を出し、鍋の斜めの部分にかけ回しながら素材を焼く。締めは、インド料理店のナンのように、コンロの内側に餅(ピン)を貼り付けて焼く。演出効果もたっぷりで、新しいビジネスを考えている飲食業にはヒントになるかもしれない。

後半はすべて歌なので、鍋のシーンを見たら切り上げてもいいかな。別に下手といういうほどではないし、何故かギターのブランドを隠してあったりと、それなりの見どころもあるのだが。

ウィンドリバー

2018年日本公開の、実話に基づいたミステリー映画。アメリカの僻地、極寒の先住民族居留地で起こった殺人事件を、地元のベテランハンターとフロリダから呼ばれた女性FBI捜査官が追う。どのシーンも無駄なくサスペンスでハードボイルド、軽薄でない、重量級のかっこよさが満ち満ちている。

極寒の冬は、どんなに明るく晴れ渡っていても、すぐ身近に死の危険がある過酷な世界だ。この絵になりにくく、暖かい地方の人には理解してもらいにくいことを、映画は冒頭から突きつけてくる。それだけで、北海道民の心を鷲掴みである。

主人公を演じるジェレミー・レナーが渋いのは言うまでもないが、ヒロインのエリザベス・オルセンも良かった。作品のシリアスさにちょっと不似合いな、愛嬌のある美女という雰囲気だったが、抑えた演技で、最期はしっかりタフなところを見せてくれた。

少数民族の、しかも女性の置かれた環境、閉鎖的な地域社会に内在する闇など、社会的なテーマもきっちり描いているだけに、そこに目を奪われがちだが、シャープなアクションやリアルでクールに描かれた大自然、そしてとにかく重くかっこいいセリフなど、エンターテインメント性も抜群である。
監督・脚本のテイラー・シェリダンは、なんとこれが初メガホン。名前を覚えておいて、次回作にも期待せざるを得ない。