コロナ時代の新ビジネスマナー

コロナウィルス感染防止のため、社会はすっかり自粛ムードだが、感染者数は増えるものの、既存患者の接触追跡中の範囲内であり、新たに大きなクラスターは見つかっていない。当初さんざん叩かれていた政府の対応も、ここにきて世界からその先見性が注目されはじめた。予断は許さないものの、希望が見え始めたように思う。
今回の対応で最も評価されるべきは、消毒、洗浄、マスク、時差出勤など、あらゆる対策を行った国民だろう。商談なども互いにマスクでのままでというように、マナーも変わってきたように思う。

コロナは来年度も流行しないとは限らない。ビジネスをストップさせない社会を作るため、さらに踏み込んだビジネスマナーを普及させてみたい。例えば、名刺交換、握手と言った接触の前に、互いに携帯用のアルコールスプレーを取り出し、目の前で手を殺菌する。今回、北海道知事がマスクで会見したことは、公の席でもマスクを外さない風潮づくりにかなり役立ったはずだ。アルコール殺菌も同じで、経済界の重鎮などがやってみせればたちまち普及するだろう。無数のビジネスマンが皆アルコールを持っているのだから、道を尋ねてきた人にも一吹き。つり革やドアノブも、すべて殺菌して回るわけには行かないが、触った後に自分の手にさっと一吹き。これで感染も、拡散もかなり防げるだろう。

そうなるとスプレー容器も製品名のついたプラスチック製ではあじけない。持ち主のステータスや趣味に合わせて、デザインや素材に凝ったものを選びたい。伝統工芸製品などは、うってつけである。コレクターも登場し、新しい市場も生まれるかも知れない。

商品名は「保千代無菌(ぽちょむきん)」がいいかも

「まずは駆けつけ3吹きといきますか。おお、そちらは切子ですな。やはりアルコールはガラスに映えますなあ。(シュッ)」
「そちらの染め付けは、昼間から喉が乾いてかないませんぞ。(シュッ)」
「わははは、嫌いじゃないもので。ところで何やらすがすがしい香りが」
「お気づきですか。北海道産無農薬じゃがいものアルコールでして。そちらは随分とふくよかな香りですが」
「実は『大吟醸 親之光』を蒸留しまして。まあ、おひとつ。(シュッ)」
「おっ、これはこれは。わははは」
「わははは」

という具合に商談もとんとん拍子である。これもアルコールがとりもつ縁かもしれない。

伝統の技はコロナにも負けず

2月8日から江戸東京博物館で開催されていた 「江戸ものづくり列伝-ニッポンの美は職人の技と心に宿る-」展は、新型コロナウィルス感染拡大防止のため2月29日から3月16日まで休止している。が、3月10日、ニコニコ動画上で特別展として中継番組が公開された。

江戸時代の極小工芸品やトリックアートなど、職人の技と遊び心にあふれた工芸品の並ぶ館内では、学芸員が1点ずつ見どころを解説。動画サイトならではの時間にしばられないゆったりした雰囲気の中、時折再開後の来場をPRするなど、トークも自由で肩の力が抜けていたのが良かった。動画は実物には及ばないものの、現地まで行けない人にも思わぬプレゼントになった。

仰げば尊し

明治17年に発表された日本の唱歌で、アメリカの曲らしいが作曲者は不明。卒業式シーズンなので取り上げてみたが、最近は歌わない学校が増えているらしい。

この曲で一番思い出深いのは、1994年、鹿島アントラーズのジーコ選手の現役引退試合のセレモニーである。カールスモーキー石井の独唱に合わせて、スタジアム全員が歌い上げた仰げば尊しは、自分の卒業式以上に感慨深かった。
世界のスーパースターで、ブラジルの英雄、サッカーの神様とも言われ、スタジアムに「偉大なジーコ」の像が立つ。その名声と大臣の地位を投げうって来日し、電車で練習場に通いながらゼロからのサッカーリーグづくりに尽力した。現役時代から監督時代に至るまで、「実際に起こっている現実から判断をせず、現実と乖離する決まり事に従う」という日本人の特質を克服するため、自分で考えることの重要性を教え続けた「師」である。その教えに触れたサッカーファンを皮切りに、次第に日本人全体の意識も変わっていったように思う。

動画は伊丹十三作品「タンポポ」の1シーン。これもまた日本人の外食文化の有り様をも変えた名作。書きたいことはいろいろあるが、またの機会に。

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