伴奏音源

楽器の練習をすると、当然あちこちで間違ってしまう。そこで、間違った箇所を何度も練習する。間違っても、間違っても、できるまでそこを繰り返す。実は、これは良くない練習法だそうだ。なぜかというと「間違い方を体に叩き込んでる」ことになるから。

逆にうまく弾けるところはそれで良しとして先に進み、次の難所にいどむ。これも間違いだそうで、うまく弾けるところこそ何度も繰り替えさなければならない。「うまく弾けるやり方を体に叩き込む」のである。うまく弾けたと言ってもまだまだ不安定で、この次は間違うかもしれないし、表現的にも未熟だ。そこで、練習してさらに磨き上げるのである。

間違ったらそのまま先を演奏するのが正しい練習法ということになるが、そうしても間違うとそこをやり直したくなってしまう。そこで「Play Along」とか「Backing Track」とか言われる伴奏音源の動画が役に立つ。間違っても伴奏はどんどん先に行くので、間違い箇所にこだわっていられない。

とはいえ、伴奏無しでそこそこうまく弾けるようになったつもりの曲も、伴奏があるととたんにぐちゃぐちゃになってしまう。伴奏に気をとられれば指づかいがおろそかになるし、指使いに集中するとテンポが狂う。それはもう情けなくなるくらいだが、そこがこらえどころだ。何度かやるうちに徐々に伴奏と合ってきて、ハーモニーを味わう余裕も出てくる。こうなると、もう演奏会と同じで、単独の楽器だけでの練習よりはるかに楽しい。ネットにはそのための伴奏音源が山のようにあるので、利用しない手はない

ジョン・ウィック

非常事態の日々を忘れさせてくれるような痛快ぶっ飛ばし映画を見たい。ということで、迷わずかねてから評判のこの作品を選んだ。キアヌ・リーブス主演、2015年公開の大ヒットアクション映画である。
最愛の妻を病気で亡くして失意に暮れる男のもとに、一匹の子犬が届く。死期を悟った妻が、心の支えにと注文しておいたものである。犬を連れて骨董品の愛車を駆ることで悲しみを癒やす毎日。しかしある夜、強盗に入られ、車を盗まれた上に、目の前で愛犬を殺されてしまう。

この映画、ストーリーはどうでもいいのだ。強盗を働いたのはギャングの大ボスの息子で、主人公は結婚で引退していたが、ボスが青くなるほど恐ろしい伝説の殺し屋。手下や殺し屋を集めて身を隠した息子のもとに潜入した後は、撃つわ殺すわの大アクションである。主人公に同情して損した気分だが、そもそもストーリーは、アクション・シーンを集中して見てもらいたいがために、わざととってつけたようなものにしたのではないかと思う。

その分アクションは秀逸である。人間離れした運動神経で、流れるように殴る、蹴る、撃つ、投げる、締める、身を躱す…。アイデアとカメラやスタントが一体になって初めてできる、まさにアクション・シーンの芸術である。常に斬新なぶっ飛ばしとカタルシスを望んでやまない、全世界のアクション映画グルメを唸らせるはずだ。シリーズは現在3作が公開され、4.5作目も制作が予定されている。
それにつけても、昨年つくづく感じさせられたが病気とは恐ろしいものだ。一人の女性が病死することで、これほどまでに多くの無関係な者が犠牲になるのだから。