Easy to Love

コール・ポーター(1981-1964)の作品。歌はエラ・フィッツジェラルド。

3月以来のパブリック・ドメイン名曲集である。好きな曲、知ってる曲は尽きてしまった感があるので、知らない曲だが、今聞いても「いい感じの曲」ということで。アーチストは、歌声になじみのあるエラ・フィッツジェラルドを選んでみた。チャーリー・パーカーの演奏動画もあったが、録音が古すぎた。結局コール・ポーターに何度目かのご登場を願うことになってしまった。
エラ・フィッツジェラルドといえば、スキャットのアドリブを入れることで、モダンジャズのボーカルのスタイルを確立させた人。ただし、この曲ではアドリブがない。スローな曲だからかもしれないが、楽器ならスローでもアドリブが入るので、まだスタイルができてなかった頃の録音かもしれない。

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ただ珍しくおもしろく、月日の経つのも夢のうち

童謡「浦島太郎」の一節である。若い頃にちょっと良いことをしたが、その後調子に乗って浮ついた暮らしをしたあげく、やめろといわれてることをやって、気がついたら白髪のもうろく爺い…。なんだか耳の痛いような歌だが。
もし浦島が最後まで玉手箱を開けなければどうなっただろう。住んでいた村も知人も何一つ残っていないのは心細いが、肉体が若いままならなんとか順応して暮らしていけるだろう。だが、晩年になるにつれて「あの時に玉手箱を開けていたら…」という未練が大きくなる。それなら最後に開ければいいだろうと思う人は年寄というものを知らない。それまで続けてきたことに大変革を起こす決断力が衰えているので、これで最後という決断は到底できないのだ。

開けてはいけない箱といえば、ギリシャ神話のパンドラの箱。開けると、中からさまざまな災厄が飛び出してくるが、最後に希望が残る。いい話ふうだが、やらかしてしまった災厄の後始末もせず、あやふやな希望にすがって生きるというのも痛々しい話だ。童話、神話はもともと教訓話なので、こどもだけでなく、大人になってからでも真剣に読む価値があるくらいだが、残念なことに大抵の場合は手遅れだ。おそらく書いた人も、手遅れになってから気がついて、せめて書き残そうとしたのではないだろう。

箱といえばもうひとつ、舌切り雀の大きなつづらと小さなつづらの話。これは好奇心に負けた話ではなく、選択の話である。自分ならどちらを選ぶか。私は欲張り爺さんではあるが、小心かつ疑り深くもあるので、おそらく小さいつづらを選ぶだろう。で、中はなにかといえば、もちろんお化けである。「大きい方にはお化けが入ってる」のではなく、実は「あさましい心の持ち主があけるとお化けが出てくる」という教訓だからである。

今日は私の誕生日。何歳になったかは秘密だ。この歳になると、年齢など恥部にすぎない。

箱のモンスター、ミミック。実は神話などには登場しない、ゲーム時代になってから生まれたものらしい。

意味が逆になった言葉

世間一般で、正しい意味とは逆の使い方をされている言葉がある。

拙速:
1.急いだせいで、しくじること。(一般的な使われ方)
2..上手ではないものの、スピーディに対応したせいで結果オーライなこと(原義)
もともとは孫子にある言葉。下手なやり方だが急いだおかげで勝てたという戦はあるが、ゆっくり巧みに勝ったというのは、聞いたことがない。という意味。

パフォーマンス:
1.言葉だけ、見せかけだけで中身のないアピール(一般的な使われ方)
2.実質、実体、本質のこと(原義)
ただし、コストパフォーマンスという場合は、実質という意味で使われるが、cost performanceという英語があるから。

ホウレンソウ:
1.部下は報告、連絡、相談を欠かしてはならない(一般的な使われ方)
2.上司は、いつも部下から報告、連絡、相談をされるようでなければならない(原義)
たしかそのはず。提唱した人が自らそう言っていた文章を読んだ覚えがある。

確信犯:
1.悪いとわかっていることを、ぬけぬけとやる人のこと(一般的な使われ方)
2.全く悪意はなく、正しいと確信して犯行に及んだ犯罪者。
れっきとした法律用語として定義されている。例えば、相手の健康のためと信じて疑わないで誤った民間療法を行い、傷つけてしまったというような場合らしい。悪いとわかっていてやるのは、確信犯ではなく普通の犯罪者である。

というような話をその昔に書いたことがある。どちらが正しいなどと言い張ってもせんないので、自分では使わないようにしていたが、ついに辞書にも両方の意味が載るようになった。まさに言葉は生きているというやつである。ちなみに、最初におかしな使い方に気がついたのは、たいてい政治家のインタビューだった。