世間一般で、正しい意味とは逆の使い方をされている言葉がある。
拙速:
1.急いだせいで、しくじること。(一般的な使われ方)
2..上手ではないものの、スピーディに対応したせいで結果オーライなこと(原義)
もともとは孫子にある言葉。下手なやり方だが急いだおかげで勝てたという戦はあるが、ゆっくり巧みに勝ったというのは、聞いたことがない。という意味。
パフォーマンス:
1.言葉だけ、見せかけだけで中身のないアピール(一般的な使われ方)
2.実質、実体、本質のこと(原義)
ただし、コストパフォーマンスという場合は、実質という意味で使われるが、cost performanceという英語があるから。
ホウレンソウ:
1.部下は報告、連絡、相談を欠かしてはならない(一般的な使われ方)
2.上司は、いつも部下から報告、連絡、相談をされるようでなければならない(原義)
たしかそのはず。提唱した人が自らそう言っていた文章を読んだ覚えがある。
確信犯:
1.悪いとわかっていることを、ぬけぬけとやる人のこと(一般的な使われ方)
2.全く悪意はなく、正しいと確信して犯行に及んだ犯罪者。
れっきとした法律用語として定義されている。例えば、相手の健康のためと信じて疑わないで誤った民間療法を行い、傷つけてしまったというような場合らしい。悪いとわかっていてやるのは、確信犯ではなく普通の犯罪者である。
というような話をその昔に書いたことがある。どちらが正しいなどと言い張ってもせんないので、自分では使わないようにしていたが、ついに辞書にも両方の意味が載るようになった。まさに言葉は生きているというやつである。ちなみに、最初におかしな使い方に気がついたのは、たいてい政治家のインタビューだった。