
ちょっと前に、コンビニの屋根に富士山が乗っているように見える「コンビニ富士」の見物客が、地元に迷惑をかけているという話題があった。が、あれはそもそもがフェイク画像だったらしい。
というフェイク画像を作ってみた。ワイドショー画面風に作ると、それらしく見えてしまう。なかなかおもしろい。
コンビニ富士自体は決して悪いものではない。さかさ富士だって他愛もなさでは似たようなものだし、何より庶民が見つけ出した新しい美というのがいい。行政や企業、代理店が作ったイベントはまず長続きしないが、こういうものが案外長い年月を経て、伝統文化になったりする。見物客の迷惑行為も、当初は仕方がない。放っておいてもそのうち落ち着くところに落ち着いたとは思うが、フェンスを作ったのはいかにも粋(※)じゃない。
そこでこの画像である。そもそもがフェイクだったという見立てだが、コンビニ富士にとびついた素朴な人なら、おそらくこの「衝撃の事実」にもとびつくかもしれない。無駄足を嫌って衝動的に駆けつける数は減るだろう。が、そのうちこのインタビュー画像こそがフェイクで、コンビニ富士は健在だという情報が流れるだろう。そこからが面白いところだ。
現地へ行き画像や動画を公開しても、それは何の証拠にもならない。これほど情報網が発達した時代なのに、大勢の人に認知されればされるほど事実を確信できるのは現場を見た人だけ。信頼関係のある人の間でしか信じてもらえないという不思議な現象が起こる。さらにネット上では、これは富士を舞台にした大フェイク合戦だと気がついて参戦する人も増えるだろう。フェイクかファクトかも大事かもしれないが、面白いかどうかのほうが面白い、そんな時代にならないだろうか。
本当のことを言ってるフェイク画像
※粋(いき)
洒落ていて機知に富むこと。江戸庶民に根付いていた美意識。
最近粋なものごとを見かけなくなったので、死語になったのだろうと思って解説を。