造形は簡単に、貼り付ける画像はオリジナルの柄を作った。CGの貼り付け用画像はテキスタイルと同じで、柄を繰り返してもつなぎ目がないように合わせる。たとえばレンガ壁や芝生の地面などは、実際の写真をもとにつながる部分を修正して作る。自然のものを修正するのは大変だが、反物の柄などはかなりいい加減なものでも繰り返して貼り付けるとそれなりのデザインに見えるので楽しい。モチーフがアルファベットだったり、配色がアフリカだったりしても、床に長く流してみると反物の柄に見えなくもない。
こんなことが手軽にできるのも画像処理ソフトがあるからで、昔の人が反物の図案を考えたり型を作るのは大変だったはずだ。以前浅草の印半纏の専門店に、オリジナルの藍染半纏を特注したことがある。本藍染で背中に「漢」の一文字を入れた、なかなか気張ったもので、地紋には「青海波」を使った。「漢」はおとことも読み意味合いが勇ましいだけでなく、八方に伸びる勢いが背中の一文字にふさわしい。お店の人もこれは気が付かなったと褒められ、他の人には使わせない「禁字」にしてくれた。青海波は有名な割にあまり見かけないので選んだが、普通の柄はない上下の区別があるので、仕立てたときに肩になる部分で模様を切り替えるという凝ったものになった。手間がかかる分高くつくので注文が少ないとのことで、職人さんにはむしろよろこでもらえた。

