Scrapple from the Apple

Charlie Parker(1920-1955)の曲。思わず「ああ、ジャズ喫茶」と言いたくなるようなおなじみの名曲だ。演奏はChad.LB。現代のプレイヤーのいいところは、黄金時代の様々な名プレイヤーのスタイルを当然のように身に着けていて、次々繰り出して見せるところ。この曲もジャズファン、ジャズメンのDNAに書き込まれているような曲だから、演奏中も全員リラックスして笑顔が絶えない。特にピアノは初っ端からガンガン飛ばしてくる。

ところがいざサックスのソロになると、なんだか歯切れがよくない。ピアノの大暴れの後で座を鎮めようとしたのかとも思ったが、当人もちょっと首をひねりはじめる。本当ならベースだけをバックに、「何かが降りてきて」わがままプレイが爆発するところだが。
そこへ見かねたようにピアノのバッキングが入って、尻を蹴っ飛ばす。で、蘇ったChadが、前半の不調を吹き飛ばすプレイをたっぷりと聞かせてくれた。

なーんて、聞いたわけじゃないので勝手な感想だが、これもジャズファンの楽しみのひとつである。

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タイトル画像の話 / 迷彩風

思いつきで、迷彩風にペイントされた壁にロゴ文字の穴を開けてみた。最近、AIにはできない絵柄を模索している。AI画像は日々リアルになっていくので、逆に理屈の通らないモノ同士を組み合わせている。そこで、なるべく深く考えずに思いつきをそのまま作ったのだが、迷彩はまずかった。カモフラージュ用だけに、文字部分が実に見えづらいのだ。ちょっと考えれば当たり前のことなのだが。
当初AIはネット上にあるあらゆる画像を参照するのだと思っていて、それでは人間はとても叶わないと思ったが、たちまち権利関係の問題が巻き起こり、クリアされた画像を集めたデータベースを用意しなければならなくなったようだ。それならまだまだ人間には及ばないだろうと思う。そんなこともあって、見づらい画像を公開してみた。「なんだか見づらいから、AIじゃないんだろうな」という時代がまもなく来るはずなので、先取りである。※

CGで、コンクリートや地面などの風合いを作るのはなかなか難しい。デコボコ具合や反射率など、様々なパラメータをちょっとずついじっては、それらしく見えるポイントを探す。こういう技術指向、品質指向はキリがないので、私はよくズルをする。例えば住宅パースで、無数にあるサイディングの質感の違いを表現するのは大変なので、かわりに玄関に子どもの三輪車を横倒しにして置いたりした。三輪車を放りだして家に駆け込んでくるワンパクな子どものいる暮らし。ひっくり返ってるのが気になるやら微笑ましいやらで、好感度が上がり、サイディングの色合いなど気にかからなくなる。
今回のズルはカエルのバリケードだ。そういえば最近そんなのを見かける、とか、あんまりかわいくない、とかいうことに気を取られて、その場が茶色いカーペットじゃなく地面なのだと無意識に受け入れてしまうわけである。

※ZOOMなどで人間と向かい合っているつもりが、映像も音声もAI作のいわゆるディープ・フェイクで、それで詐欺が行われたことがあったらしい。そしてこの対策として、会議中に指で自分の鼻を押すというような意味のない行動をする、というのがあった。AIも予想不能なナンセンス行為が、これからのトレンドになるかもしれない。楽しい時代になりそうだ。