タイトル画像の話 / バスケットボール

螺旋階段を作ってみたかっただけで、深い意味のない絵柄なので、アクセントにバスケット・ボールを転がしてみた。

バスケットは遊びで触ったことがあるだけなので、どんなふうに皮を貼っていたか、すぐに思い浮かばなかった。表面がザラザラに加工してありかなり重かったことなどは思い出したが、皮の貼り方だけは検索しなければならなかった。野球やサッカーに比べると単純だったと思っていたが、案外むずかしい曲線のパーツでできている。タイトル画像では小さくて判別できないが、ちゃんと8枚のパーツに分かれていて、縫い目の部分はやや食い込んだように仕上げてある。
最初に色分けされたボールが頭に浮かんだが、調べてみるとプロでもタイトル画のような茶色のボールだけを使っている。ボールの色は一色ということがルールで決められていて、色分けしたものは公式戦以外のイベント用らしい。地味かなと思ったが、実際画面に転がしてみると公式球ならではの存在感がある。
ちなみに色については1色とだけ決められていて、どの色かまでの規定はないそうだが、オレンジが慣例になってるそうだ。自分が触ったことのあるボールは学校などのもので、オレンジではなくこげ茶色に近かった記憶があるが、あれは若者の汗と涙が染み込んだ色だったのだろう。

イメージ戦略考

一般に、企業や組織は「イメージ」でも判断される。大企業だけではなく中小、零細企業も同じで、企業イメージは時間が経つにつれて劣化していく。例えば創業時代には、経営者自らが取引先などを駆け回り、将来のビジョンなどを語る。その熱気は、毎日接する創業メンバー社員にも伝わる。それが年数を経て企業の規模などが大きくなると、顧客が主に接するのは社員になり、商談なども事務的、個人的になってしまう。そうなると「あの会社は昔は熱気があったが、今はただの◯◯屋さんになってしまった」と思われることになる。

日本は、失われた〇〇年の間にメディアからはイメージ広告が激減し、価格や品質の連呼型が主流になった。かつて華やかさを競ったデパートのショーウィンドウも、どこもスペースや展示物が縮小した。かつては華やかなディスプレイで季節の移り変わりを感じさせてくれたショーウィンドウは、ブランドのロゴがならぶばかりで、シャッター商店街さながらになった。これは、都心のドーナツ化現象とは「鶏と卵」の関係だと思う。

中小零細企業であっても、イメージ戦略は必要だ。商品、品質、サービスなどの充実に努めてきた実直な企業も同様だ。良いイメージほどささいなことでも劣化しやすい。良心的でありながら淘汰されてしまった企業は多いが、見えないイメージ劣化がその原因のひとつかもしれない。

シン・ジャポニズム

西欧社会では過去に何度もジャポニズム=日本趣味が起こっている。19世紀後半のゴッホの絵画やプッチーニの蝶々夫人などが有名だが、明治の開国や日本製品の海外輸出、戦争、国際イベントなどのたびに、日本ブームが起こってきた。それらの中には日本人からすれば少々首をかしげたくなるようなものもあったが、今また、映画やゲームの世界で日本ブームが起こってるようだ。

今年ディズニープラスで配信された「SHOGUN」は、エミー賞18冠という過去最多受賞を果たした。見どころは厳密に再現された当時の衣装、セット、風俗・習慣などで、セリフの多くも日本語だ。だが日本作品ではない。近年は本家の日本で侍を正面から扱った映像作品がでてこない。アイドルを起用したいがために、頭を剃り上げずに現代の髪型のままチョンマゲを乗せたり、下駄でタップを踊ったり...。愚痴はともかく、SHOGUNは世界が久しぶりに見る、本格的ジャパニーズ侍ワールドである。
この精密な日本文化のブームは、2020年に発売されたプレステ用ゲーム「ゴースト・オブ・ツシマ」から始まったように思う。鎌倉時代、押し寄せる元寇軍に単身立ち向かう対馬の侍という、思い切り渋い設定で、細部まで厳密に再現された装束、武器などは映像だけでも衝撃的で、世界的なヒットになった。
そしてこのたび、ゴーストオブツシマのシリーズ第二弾である「ゴースト・オブ・ヨウテイ」が発表された。ヨウテイは羊蹄山のこと。1603年の、江戸時代初頭の蝦夷地が舞台らしい。いきなり北海道が出てきてびっくりだが、麓のニセコが道民もおいそれとは近づけないような国際的なリゾートになってるので、不思議ではないのかもしれない。映像は、クロサワが監督したの?と思うほど日本的である。

そんなふうに日本の歴史がクローズアップされるのはうれしいが、残念なのは時代劇のDNAが日本に残らないことだ。ポケモンやワンピースは今でも新作が公開され、作品世界や登場人物は常にバージョンアップされている。同じように時代劇を作り続けなければ、侍ワールドはハリウッドのものになる。大河ドラマを制作するのに、将軍やお局様の豪華な衣装や甲冑をハリウッドからレンタルし、江戸城大広間や、無数の人馬が斃れる関ヶ原などのCGデータを買うことにも。そうしないとクオリティで負けてしまうからだ。

※なんでもシンをつけるのは、かえってジジくさいかな?