一時期若者のクルマ離れが取り沙汰された。多分今でもそうだろう。メディアでは、評論家たちがいろいろな説を唱えているが…。
CGで自動車を作るために資料探しをしていると感じるのだが、今のクルマはデザインがカッコ悪い。あれでは若者がぐっと来て、少ない給料でローンを組もうなどとは考えない。クルマにあまり興味がないのでなおさら感じるのだが、昔のデザインには「どうだ、速そうだろう」「豪華だろう」というようなオーラがあるが、最近のクルマはどれも似たりよったりで区別がつかない。微妙な味わいの差があるのだろうとは思うが…。
カーデザインがそんなふうになったのは、CADによる設計のしやすさや組み立てのしやすさ、材料費の節約など、メーカーの都合だと思う。典型的なセダンが減ったのも、後部まで複雑なカーブを作らなくても良いからで、作られたトレンドのような気がする。若者の恋愛ばなれと結びつけてドライブデートをしなくなったからというような主張もあったが、これもどうだろう。もともと女性はクルマに興味がないし、ドライブに誘う以前に男性の値踏みは決まってるような気がするが。
とはいえ、重機や特殊車両のデザインはカッコ良くなる一方で、道路工事など、ときどき立ち止まって眺めてしまうこともある。なんとなく日本お得意のマンガやアニメの世界観を取り入れた雰囲気もあり、パワー、スピード、先進性などの言葉が思い浮かぶ。
クルマの広告訴求ポイントも同じ過ちをおかしている。安全性と燃費がそれほど大事なら、電車に乗ったほうが良いと言ってるようなものだ。どうせ事故にあえば一巻の終わりだし、不安定なガソリン価格はもはや車の性能ではカバーしきれない。そうではないのだ。人が思わず振り返るような車に乗り、お気に入りのコースを走れば、明日も頑張って働いて、ローン費用やガソリン代を稼ごうという気になる。それがクルマというものだろうと思う。

ちなみに古いアニメに出てきた原始時代のクルマは、床がなくて足で漕いで進んだ。すごいパワーだ。