札幌市ウェブサイトに札幌市民憲章の英訳があったが、なぜか前文だけだった。長いものではないし、オープンデータの時代にこの半端さはいかがなものかと思い、ChatGPTで英訳した。その際、かのウィリアム・スミス・クラーク博士による1876年の札幌農学校での演説を想定し、マサチューセッツ出身者らしい訛りや当時の時代がかった言い回し、野心的だった人となりなどを加味してもらった。「古風な修辞(“Let us…” “ye” “therefore”など)を交え、19世紀のプロテスタント説教・建国演説調に整えています。語彙やリズムはマサチューセッツ出身の知識人が好む、聖書的・高邁な英語を基調にしました。」だそうである。

日本語訳は下記の通り。もとが日本語なのだが、英語という異文化や時代性のファクターを一度通したことで、オリジナルとは一味違ったものになっているところが興味深い。
前章
時計台の鐘の下に集う友よ、市民たちよ
われらは雄大なる自然と、不屈の開拓者精神のうえに生まれた札幌の民である。
この北の大地に、われらの町は希望の灯として立ち上がり、未来へと伸びゆく。
このまちの市民であることを誇りとし、互いの幸福を願い、
いまここに、われら良き市民となるための憲章を定めようではないか。
第1章 労働と豊かさ
力強く働き、まちを豊かにしよう。
寒さにも暑さにも負けぬ体と心をきたえよう。
家庭では仕事を分かち合い、労働を喜びに変えよう。
仕事に誇りと喜びを持ち、職場をいきいきとした場にしよう。
力を合わせて、札幌の産業を発展させよう。
第2章 清潔と美
空も道路も草木も水も、きれいにしよう。
大気や水の汚れ、騒音をなくそう。
家のまわりや道路をきれいにし、花を広めよう。
公園の草花や木を大切にしよう。
みんなで使う施設をよごさず、みにくい貼り紙や広告をやめよう。
第3章 秩序と安寧
きまりを守り、住みよいまちにしよう。
集会の時刻を守ろう。
交通規則をまもり、事故をなくそう。
力を合わせて暴力を追放しよう。
互いに気をつけ、迷惑をかけず、
親切にして、お年寄りや体の不自由な人をいたわろう。
第4章 子どもと未来
未来をつくる子どもたちの幸せなまちにしよう。
大切なしつけを、子どもの時から身につけさせよう。
明るい家庭で、自覚と責任をもつ強い子を育てよう。
家庭と学校が力を合わせ、ゆきとどいた教育をしよう。
みんなで悪い環境から子どもを守り、
すべての子を社会の子として導こう。
第5章 文化と世界
世界と結ぶ高い文化のまちにしよう。
北国のくらしに合った衣・食・住を工夫しよう。
生活の中に音楽や美術を生かそう。
文化財を大切にし、みんなの文化を高めよう。
世界の人と手をとり、学問と芸術をともに進めよう。
札幌の市民よ
信念を強く、心を清く、働きを永遠のものとせよ。
そして忘れるな、「志高くあれ!」
金のためでなく、名誉のためでなく、
このまちのため、国のため、
そして天のもとにあるすべての人のために。
昔の人の言葉は少々大げさで断定的だが、人の心を鷲掴みにする力がある。市民であることに誇りが湧き上がってくる。ちなみに有名な「少年よ大志をいだけ」は、原文では「boys, be ambitious like this old man.(若者よ野心的であれ、この老人のように)」である。若者だけでなく、老人にも奮起を促す名言だ。



