先日、袖の擦り切れたコートをもって昔からやってるリフォーム店へ行った。古い3階建てのビルの急勾配の階段を息を切らしながら登ると、突き当りに店名だけ書かれたドアが一枚。中は客から預かった衣服や布地が、壁や作業台の上に所狭しと置かれている。雑然としていながら隅々まで意味のあるものだけで埋め尽くされた、職人の城。ジブリ映画のワンシーンのような空間だ。
入ってすぐの正面の作業台兼受付で、矍鑠としたおばあさんが応対し、奥から背の高い優しげな女性が作業の手を休めて出てきてくれる。挨拶もそこそこ、無駄話もなく、すぐ仕上がりの確認をしてそれで終わり。いっそ「40秒で支度しな」と言われるんじゃないかとワクワクしていたが、それはなかった。
今ではクリーニング店などでもリフォームを受け付けているが、そういう注文がすべてここに集まってくるのだろう。時節柄、これから繁盛する仕事だ。あとで調べると、ネット上の口コミ評価もかなり高かったが、一人だけ最低点をつけたのがあり「行くたびに値段が違う」とコメントが。意味がわからないのでしばらく考えたら、これまで定価販売だけで、職人に依頼して見積もりしてもらう経験がなかった人なのだろうと思い至った。

AIに頼んで描いてもらったが、こういうお約束な絵柄はホントうまい。また、以前は画中の文字がデタラメなことが多かったが、TEILORやSINGERなどの表記は正しい。が、よく見ると機械部が入っている部分に引き出しがあったり、往来に向けて鏡文字でなければならない店名が普通に表記されていたり、メジャーの数字がでたらめだったりと愉快な部分があちこちにある。それも味わいのうちだ。
