業務スーパー

業務スーパーの製品がなかなか面白い。最初に気がついたのは、店頭にハラール食品のポスターが貼ってあったため。ハラールはイスラム教の戒律にしたがって処理された食品のことだが、信者は世界中にいるので、世界的には珍しいものではない。たまたま輸入した商品がハラールであることも珍しくないだろうが、エキゾチックな食品店でなく、スーパーでハラールの表示を出してるところは他には思い当たらない。

業務スーパーは、日本の流通業での中で、直営工場が一番多いことで知られているが、パッケージの製造元をたどってみると、直輸入品や国内での仕入商品にも面白いものがいろいろある。例えばビスケット、クラッカー類はベトナムのKinh Do社のもの。ベトナムはフランスの植民地だったためパンのレベルが高いが、 Kinh Do社はその中でも大手にあたり、近年モンデリーズに吸収されている。モンデリーズと言えば、クラフト、ハインツなどを擁する一大食品グループだ。かなり安くてちょっと心配になるくらいだが、よく見るとパッケージは頑丈で印刷もしっかりしている。日本の製品に比べても、十分コストはかけている感じだ。
また、カレー粉、レトルトカレーにハチ食品という聞き慣れない社名があったので調べたら、なんと日本で最初にカレー粉を販売した会社だった。カレー粉と言えばイギリスのC&B製が日本に入ってきて、その後S&Bが国産品を出したのだと思っていたが、元祖はハチ食品だったのである。我らの国民食に対するとんだ認識不足を反省し、いつものS&Bの赤い缶にハチ食品を入れて使うことにした。

バターはさらに面白い。450グラム(1ポンド)の欧米サイズのものをニュージランドから輸入しているが、グラム単価で国内産より安い。バターはかつて225グラム(半ポンド)で売られていて、その後200グラム、150グラムと、容量を減らしながら実質値上げし続けてきた商品だ。また、東京在住の主婦によればクリスマス期にはよく品切れを起こし、ネットでプレミアがつく。乳製品と言えば北海道の独壇場だろうから、かねてからバターの供給の不安定さはホクレンの戦略ミスではないかと思っていたが、その脇の甘さを突かれた形になった。
数年前、テレビのインタビュー番組でホクレンの幹部が登場し、バターの品薄はコントロールされたものであるかのようなコメントをして騒ぎになった。それを見て私は、その昔雪印乳業が集団食中毒に際して、メディアへの対応を間違ったために廃業の憂き目にあったことをもう忘れたのかと、一道民として冷や汗の出る思いだった。そこへ来て、業務スーパーの1ポンドバターである。しかも、価格だけではなくグラスフェッド(牧草飼育)という付加価値付きだ。多分今後は北海道産は品質も価格もかなわないだろう。乳製品に関しては生産者の減少などの問題を抱えているのは知ってるし、誰がどんな利権でどんな汁を吸おうと全く気にもならないが、供給能力の低下はまずいだろう。最近、北海道ブランドは過大評価されてるのではないかと思ってるが、1ポンドバターがぬけぬけと並んでるのを見ると、足元が揺らいでいるのではないかと思ってしまう。だからと言って、もちろんグラスフェッドは買うが。

2 thoughts on “業務スーパー

  • 9月 16, 2021 at 15:10
    Permalink

    あそこはフランチャイズなので、店によって商品が違うそうです。近くに大きなスーパーがないので、行かざるをえません。大家族のほうが便利だと思います。

    Reply
  • 9月 16, 2021 at 14:23
    Permalink

    クルマで走っていると「業務スーパー」の看板を見かけて興味が湧くものの未だに入った事が無い私です。今日も「卸売りスーパー」には行きましたが、最近になって野菜も値上がり気味で、野菜などに限れば普通のスーパーと価格も大差が無いほどになっているものの、大家族なのでカゴ3~4個になるが、「卸売りスーパー」は1万円少しオーバーくらいで治まるから助かります。
    今度「業務スーパー」も覗いてみようかと考えています。

    Reply

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です