先日、原発から出る高レベル核廃棄物の保管期間の短縮技術の記事を読んだ。高レベル核廃棄物は危険な放射線を放出し、半減期が何万年と言う物質も含んでいる。現代人が責任をもって管理しきれないほどの時間、地層に埋めるだけでは負の遺産と言われても仕方がない。それも他ならぬ我々世代が恩恵を享受しながら、未来の世代につけまわしをしているようで気にかかっていた点だったが。
記事によれば、高レベルの核廃棄物に中性子を当てることで人為的に崩壊を早める技術のようだ。それでも無害化までに数百年かかると言われているが、数万年と数百年では意味が全く違う。数百年であれば、個人の寿命よりずっと長いことには変わりないが、事業として十分管理し続け達成できる期間だ。
例えばバルセロナのサグラダ・ファミリア聖堂の建築は3世紀に渡ることで有名だが、ドイツのケルン大聖堂(工期630年)、イタリアのミラノ大聖堂(579年)など、100年単位で建てられたものは少なくない。建物以外の事業としては、日本には千年以上続く企業が7社もある。人間にとって100年単位というのは、目的を定めてコントロールし続けることが可能な期間といえる。これなら未来の人類に申し送りしても、まあ勘弁して貰えそうだ。電気によって築き上げてきたものも同時に引き渡すのだから。ともあれ、人類が後先考えずに利益だけを貪り、臭いものにフタで済ますほど愚かではないと知って、ちょっと安心した。