Lover come back to me

シグマンド・ロンバーグ(1887 – 1951)作曲の、日本でも人気の名曲。邦題は「恋人よ我に帰れ」(我に返れ、ではないのでご注意)で、以前紹介した「朝日のようにさわやかに」と同じ作者である。
こんな有名な曲をまだ紹介していなかったなんて!パブリック・ドメインは、著作権の理屈も複雑で、正直どこで探したらいいのかよくわかっていないので、こんな風にうんと古くてうんと有名な曲にで食わすと本当に嬉しい。さっそく動画を探すと、北村英治さんの演奏があった。(失礼ながら)まだご存命かななどと思いながら日付を見ると、なんと2017年。88歳のステージである。

クラリネットは一度だけ吹いてみたことがあるが、なめらかな音色に似合わず、実に息の苦しい楽器だ。楽器は1日練習を休めば取り戻すのに3日かかると言われる。まして高齢者なら、1日の遅れを一生取り戻せないかもしれない。それをワンステージこなすのだから、おそらく今でも毎日練習を続けているのだろう。そう思ってみると、広い肩幅と胸の厚さは、到底88歳とは思えない。
ちなみに演奏中に管の中に布を通して水を拭き取っている。サックスでも欠かせない手入れ法だが、演奏者以外の人には珍しい光景かもしれない。

作品一覧へはこちらから

What A Difference A Day Made

マリア・グレヴェール(1885- 1951)の作曲。ダイナ・ワシントンの歌で有名だが、今回はソニー・ロリンズで。ベースはボブ・クランショー、ピアノはトミー・フラナガン、ドラムはアル・フォスター。

今まで、古いパブリック・ドメインの名曲を何曲か紹介してきたが、女性作曲家は初登場。メキシコ人で、生涯800曲もの作品を書いたそうである。「What A Difference A Day Made」誰もがどこかで聞いたことのある、ジャンルを超えた名曲で、メロディラインに古さを感じさせないので、てっきりもっとずっと新しい曲だと思っていた。ちょっと検索しただけでも、数多くのミュージシャンに取り上げておあり、CMなどでもおなじみだ。そろそろ知らないパブリック・ドメインの曲を紹介しなければならないかなと思っていただけに、こういうのを見つけられると、ちょっとうれしい。

作品一覧はこちら

クレオパトラの夢

バド・パウエル(1924-1966)の曲。ジャズに興味のない人でも、どこかで聞いたことがあるのではないだろうか。特に日本では、並のポピュラー曲をしのぐほど親しまれている名曲である。

私も、最初はポピュラーだと思っていた。非常に耳に残っているメロディなので、おそらく何かのTV番組で使っていたのではと考えて検索してみると、1987年から毎日放送で放映されていた「Ryu’s Bar 気ままにいい夜」のテーマだったようだ。村上龍のトーク番組で、確かに見た覚えがある。また、NHKの「美の壺」でも挿入曲にしていたらしい。いかにも感じである。

さてパブリックドメインはその性質上、毎年古いものから増えていくはずだから、永遠に記事ネタができるはず。本ブログでこのカテゴリーを立てたときは、そういう目論見だった。が、昨年いきなり著作権の保護期間が50年から70年に増えたため、今はちょっと資源が枯渇しかかっている。
権利が消滅した名曲はたくさんあるのだが、一応初心者が練習して、いつかは演奏できるような曲を、できれば新しいアレンジの動画で紹介したかったのだが、そういう条件をつけると候補がかなり少なくなる。さしずめこの曲などは、オリジナルが有名すぎて、今さら感が強い。プロもそう思うのか、youtubeでもカバー演奏動画が極端に少ない。また、名曲であると同時に名演奏でもあり、ピアノの持ち味を活かしきっている分、私の練習しているバイオリンには、参考にならない。やや主旨から外れた曲なのだが、いいものいいということで、じっくり味わってもらいたい。

作品一覧はこちら