一人で楽器を練習していて難所で間違うと、ちょっと悔しくてその場でやり直したくなるが、間違った箇所を何度も繰り返し練習してはいけないらしい。「エラーを学習してしまう」からだという。その説明に説得力をあったので、最近は伴奏音源を流しながら、失敗してもそのまま先を弾いてしまうことにしていた。すると、確かにそのほうが成果があるようなのだ。
例えば1曲の中になんとか弾けるAとCの箇所と、どうしても引っかかるBの箇所があったとする。Bの部分に戻って何度もやり直すと、その部分だけ弾けるようになったつもりでも、全体のパフォーマンスが下がって、最初から弾くとまた失敗するだけでなく、ちゃんと出来てた後半まで調子を悪くしてしまう。
これを間違っても気にせず、そのまま伴奏に合わせて弾ききるようにすると、戻ってやり直すよりも、B箇所を弾く時間が減ってるはずなのに、だんだん間違わなくなるのだ。
うまく弾けているつもりのAやCの箇所も、決して完璧なわけではない。Bの箇所の失敗と比べても、実は大同小異の出来であり、改善の余地はある。失敗に構わず弾ききるようにすると、AやCの箇所は練習した分さらに良くなっていく。すると、引き上げられるように、弱点だったBも自然に上達してしまうのだ。
通して弾くやり方だと、AやCがさらに上達して慣れや余裕が生まれ、その分Bに集中できるのかもしれない。もしかしたら、問題箇所に差し掛かるときに感じる緊張は集中ではなく、ただの軽いパニックで、A、Cに出来た余裕のおかげで、Bに集中して取り組むことができるようになっただけかもしれない。他のいろいろな問題解決にも通じるコツがわかったような気がする。