タイトル画像の話 / チェスとAI

間違ってるかもしれないが、チェスや将棋、囲碁の世界では、もはや人間がAIにかなわないそうだ。なんだか残念な話だが、膨大なデータベースを擁するAIとの勝負は、ブルドーザーとの綱引きみたいなもので、始めからハンデが大きすぎたような気もする。

伝統的なゲーム類は単なる娯楽というだけでなく、用具一式が美術工芸品になっているものも少なくないし、そのチャンピオンは特別な尊敬を受ける存在であり続けた。人間の知や美意識を極めた世界だけに、いつまでも少々気品に欠けるディスプレイ画面が王座に君臨していて欲しくはない。いつの日か、AIを超える人間のプレイヤーに出てきてほしいものだ。

さてCG制作では、コマの造形に頑張りすぎて、ボードがややイージーになってしまった。もう少し重厚で装飾性の高い造形にしたほうがいいのだろうが、技術力よりクラシカルな装飾ができるだけのデザイン力が足りなかった。一方、緑のフェルト風のテーブル面は、我ながらよく思いついたと思う。実際こういう場所に置くケースはないと思うが、ビリヤードの台のようなので、知的な勝負事の世界観に合ってるだろう。

そういえばビリヤードなど体を使うゲームも、AIと産業ロボットがタッグしたら強いのだろうか。

タイトル画像の話 / 飛行船

ドイツの飛行船、ツェッペリン号の写真からモデリングしてみた。周囲の複葉機はペーパークラフトのデータをそのまま造形したものである。

ツェッペリンというのは、飛行船を製造したドイツの会社の名前で、第一次世界大戦前から戦後まで、100隻以上を製造している。いちばん有名なものは日本にも訪問したことのあるグラーフ・ツェッペリン127号。よく、爆発炎上した飛行船「ヒンデンブルク」と混同されるが、ロックグループのレッド・ツェッペリンのアルバムジャケットに、ヒンデンブルクの炎上写真が使われていたせいだろう。飛行船はどれも同じようなものなので、区別がつかなくても無理はない。CGでのモデリングも簡単だ。他の場合なら、造形物を形作るポリゴンをなめらかに見せるには工夫が少々必要だが、飛行船の場合は船体の鉄骨の跡のように見える。

ちなみに爆発したほうのヒンデンブルクだが、水素への引火が原因というのは正確ではないらしい。当時もヘリウムはあったが非常に高価だったので、降下の際に空中に放出してしまうわけには行かず、プロペラで下降しなければならなかった。またヘリウムの生産国がアメリカだったので、第二次大戦前のドイツには売ってもらえなかった。このためヒンデンブルクは、確かに水素を使用していたが、発火の原因は牽引ロープが地面に接した際に飛行中に溜まっていた静電気がスパークし、船体表面の塗料に含まれたアルミニウムに引火したためだそうだ。もちろん途中で水素も爆発しただろうが、記録動画を見ると船体表面が皮を剥くように尾部から燃えて行ってるのがわかる。

タイトル画像の話 / バレンタインデー

2月14日はバレンタインデー。そこでタイトル画像を変えてみた。高度な技術は使っていないし、アイデアもデザインも大したものではないが、権利の問題がやかましくなってきた折、簡単にオリジナルができるCGのメリットは大きい。同じ絵を、お絵描きソフトで描こうとするとなかなか大変だ。AIを使えば簡単に権利をクリアした画像ができると思われていたが、最近ではかえって話が面倒になってるらしい。だからといって某いらすとばかりになってしまうのも、味気がない。

CGは少々とっつきづらい部分もあるが、常に最高品質のものをめざさないなら、手軽にほしい画像をつくることができる。以前はよく小さな工務店と組んで、本来完成予想図を提出しないような個人施主などに対し、図面と一緒にCGを提出してプレゼンを成功させた。住宅や施設だけでなく、「工事現場の産業廃棄物分類施設の完成予想図」というような、あまり完成予想図を作らない分野で効果を発揮した。仕事が取れなかったら薄謝程度という約束だったが、他社がそこまでしないのだからなかなか成功率が高く、均せば十分良い仕事になった。これが仕事が決まった後の正式な完成予想図の依頼だと、コストや時間のかかる画像素材を使わなくてはならなくなる。低品質だが安上がりで、手早くCGを作ることに徹したので、図面のおまけにつけることができた。
CGが登場したときには、誰でもそういう使い方ができる時代が来ると言われていたのだが、使う環境が整う割に軽便な利用が進んでないような気がする。