I’m In The Mood For Love

Jimmy McHugh(1894-1969)の曲。タイトルは知らなかったが、聞いたら分かる曲。パブリック・ドメイン曲にはこういう曲も多く、見つけにくい。

今回は1954年のSarah Vaughanの歌である。サラ・ヴォーンは、エラ・フィッツジェラルドと並んで、モダンジャズ・ヴォーカルの先駆者である。サックスやトランペット、ピアノなどのモダンジャズの主役とも言える楽器が、コードやモードの制約のみで、自由なアド・リブを繰り出す時代になっても、ヴォーカルはテーマを歌って一度引っ込み、しばらく他の楽器の間奏にバトンタッチしてから、最後にまた登場してテーマを歌うというスタイルだった。もちろんそのテーマの歌い方にその歌手ならでは趣向があったのだが。

サラ・ヴォーンやエラ・フィッツジェラルドは、スキャットで自由なメロディラインを歌い、アド・リブパートを務めるというスタイルを編み出した。ヴォーカルを真にモダン・ジャズ化させ、ステージの主役として歌いまくったのである。
とはいえ、この録音ではそれ以前のひっこむスタイルである。そんなところにも、ジャズヴォーカルの変遷の歩みが感じられて面白い。

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All of You

コール・ポーター(1981-1964)の作曲。演奏は、ジャズファンなら誰でも知っている名盤中の名盤、マイルス・デイビスの「ROUND ABOUT MIDNIGHT」から。

マイルスについてはネット上にも様々な情報があるので、ここはあえてマイルスのトレードマークとも言える、「ミュート」について。

ミュートは弱音器とも呼ばれ、トランペットやトロンボーンなどの大きな音を抑えるためのものだが、マイルスはトランペットで繊細な音を出すために使い、「玉子の殻の上を歩くよう」と言われる独自の世界を切り開いた。ミュートには何種類かあるが、彼が使ってたのは「ワウワウ・ミュート」と呼ばれる種類で、ハーマン社製が有名だったことから、ハーマン・ミュートと呼ばれることが多い。先端を手などで開閉して音を変化させるのが特色だが、マイルスは先端のマウスピースに似た部分を取り外して演奏している。

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恋人をとられて /Somebody Stole My Gal

本年最初の本企画。年々紹介する曲が減っているのは心苦しいが、知らない曲や思い入れのない曲まで紹介しても、楽器の練習曲を選びたいという当初の目的から離れるような気がする。困ったものである。音楽業界は発展する一方で、発表される曲も増加の一途をたどってるはずなのに紹介曲がどんどん減るというのは、なにかおかしい気がするが...。

さて、アメリカの作曲家レオ・ウッド(1882-1929)の曲。本ブログのパブリック・ドメイン名曲集の中でも、屈指の有名曲にちがいない。特に日本では誰もが一度は耳にしたことがあるのではないだろうか。そんな曲知らないよという方は、ぜひご一聴を。

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