タイトル画像の話 / Happy Halloween

10月31日はハロウィン。ヨーロッパの古い宗教にルーツを持ち、キリスト教とは関係がないので、ヨーロッパや南米のカトリック国では行われず、主に北米で盛んな行事だ。と思っていたのだが。ChatGPTの話では微妙に違うらしい。

技術的な話はこれといってない。フレーバーテキストは例によってChatGPT製。ハロウィンをテーマにマザーグース風にしてもらった、ちなみにマザーグースの時代のイギリスには、ハロウィンはない。

ハロウィンはもともとキリスト教以前の、ケルト族の「サウィン」という、この世に帰ってくる死者を迎える祭りだった。アイルランドやスコットランドで根強く残っていたが、キリスト教がこの行事を取り込み、「諸聖人の日(All Hallows’ Day)」とその前夜「All Hallows’ Eve(Halloween)」を制定した。もとはカトリック化された民間信仰だったでのある。

その後イギリスで宗教改革が起こり、プロテスタントによってハロウィンなどのカトリック行事が排斥されたが、アイルランド人の移住とともに、アメリカに伝わった。そこでプロテスタントの宗教観に抵触しない陽気で健全な地域イベントとして広まっていった。

南米のカトリック国では、同時期に日本のお盆のような意味合いでもっと賑やかな「死者の日」が残っていたので、ハロウィンは広まらなかった。イタリアも同様だったが、20年くらい前からアメリカ式の仮装イベントも行われるようになったという。日本とそう変わらないタイミングだ。
これについてバチカンがどう思っているか聞いたところ(※)、「無害な仮装行事として楽しむなら問題ないが、悪魔崇拝や死の軽視につながる形は望ましくない」という立場をしばしば表明するなど、あまり好意的ではないようだ。が、基本的には「無害な仮装行事として楽しむなら問題ない」と容認してきることから、イベントとして徐々に盛んになってきているらしい。

(※)バチカンに聞いたわけではない。

キャラクターを作ってみた / パンタローネ

これまでいくつかCGでキャラクターを作った。あまり得手ではないので、シリーズ化は断念したつもりだったが、このところキャラクター新作とザビエルの謎の記事へのアクセスが増えてきた。となると欲が出るもので、新作に挑戦してみた。

テーマは、イタリアの仮面喜劇コメディア・デラルテの配役の一人、パンタローネである。金持ち、欲深、色欲旺盛な老商人で、若い恋人たちの邪魔をしたりする憎まれ役。お達者とも言う。私は藤田和日郎のマンガ、からくりサーカスで知った。姿はわかってるつもりで下調べなしに作ったら、本物は全然太っていなかった。せっかくなのでそのまま公開したが、当たらずとも遠からずと思うがどうだろう。
CGキャラクターはVTUBERのアバターとして世に満ち溢れている。そのほとんどがカートゥーンレンダリング(3次元CGだが、仕上がりが平面のアニメ調に見える表現)のものが多いが、見かけ以上に高度な技術と創造性が必要なので、とても真似はできない。また、トイ・ストーリーのように立体感のある造形も、ハイスペックなコンピュータ環境が必要なので、これも難しい。なのでその昔の「ひょっこりひょうたん島」のような、人形風キャラクターにしている。
ちなみにコメディア・デラルテの仮面と、有名なベニスのカーニバルの仮面とは共通点がありそうだが、それほど直接的な関係ではないらしい。

タイトル画像の話 / 汚れや傷の効用

生成AIの登場で、手間のかかる3DCGは、伝統工芸の仲間入りかもしれないと思うことがある。1980年代に初めて本格的なCGシステムを購入したときのことを思えば隔世の感がある。立方体などの単純な形を積み重ねたり伸縮変形させて、望み通りの形を作り、表面の色や光沢を選んで仕上げるのだが、人間に見せるにはただ「完璧」なだけではなく「それらしく見える」演出が必要になってくる。

特に、傷や汚れのあるものはリアルに見えるので、好んで使われる手法だが、その傷や汚れも作ってやる必要がある。今回の画像の古くなって剥がれ落ちた塗装なども、破片をひとつひとつ作って床面に配置している。ひび割れ方も工夫が必要で、「Y」のように縁からはがれているとそれらしく見えるが、「L」のようなはがれかたはあまりリアリティを感じない。とはいえ、現実の古い壁がどれも縁から剥がれるわけではなく、あくまで人間の思い込みがそうなってるということだ。
背景の金色も、マニュアルには金の素材感を出すための三原色の比率や光沢などのパラメータが紹介されているが、その通り作ってもただの黄色い壁にしか見えないことが多い。今回は、黄色の多いイラストをうんと拡大してはりつけたもので、金のパラメータは使っていない。こうすると完璧に磨き上げられた金の壁ではないものの、ところどころくすんでいたり、周囲がぼやけて映り込むといった「現実社会で見たことのある」金工芸品などの表面に近づく。CGとは、バーチャルなデータを操作するのではなく、現実社会の観察と人間の心の洞察から生まれるものなのだ。
(※伝統工芸の匠になりきった気分で書いてみました。)