タイトル画像の話/kilroy Was Here

とぼけた顔が塀の向こうから覗いているkの絵は、第二次大戦の米軍の施設や車両などに描かれた落書き。最初に誰が描いたか、どんな意味があるのかなどは謎だが、その後の小説や映画などにもよく登場する。「Kilroy was Here(キルロイ参上)」という言葉が添えられている。敵の攻撃をしのぎながら築いた橋頭堡に描いたもの、とも言われている。が、大した意味はなかったのかもしれない。

例えばボールペン回しのように、深い意味はないが人から人になんとなく伝わっているものが好きだ。行政やメディア、企業が必死に流行らせようとする人工的なイベントやブームは、乗っかろうとすれば金がかかるし、気に入ったからといって個人が勝手にやれば、権利がどうこうという騒ぎになりそうでうっとうしい。もしかしたら昔の文化、例えば縄文式土器の模様だって、学者が言うような意味はなく、なんとなくとか、やってるのを見てかっこよかったからという理由だったのかもしれないと思う。

タイトルの題材に選んだのにも深い意味はないが、CGで作るに当たっては鉄筋の表現に凝ってみた。長い円柱に、錆びた鉄筋の写真を貼り付けただけだが、円柱を伸ばしたり曲げたりして鉄筋らしくすると、今度は貼り付けた画像が不自然にゆがんでしまう。細かく細分化された表面の1枚1枚に、画像を調整して貼りなおしてやっとそれらしくなった。

サーカスワゴン

Blenderで、昔のサーカス一座のワゴンを作ってみた。現代の自動車はボディを作って4輪を並べれば終わりなので、作っていても張り合いがないが、馬車は作っていくうちに構造がわかってきて面白い。馬車と言っても箱に車軸を通すだけではなく、馬の牽引力が直接前輪の車軸を引っ張るようにできている。そこから更に後輪の車軸につながってシャーシになる。その上には板バネがあり、上部の箱を支える。上部がただの箱なら荷馬車、幌をつければ西部劇の幌馬車、全体を木で作ればサーカスのワゴンとなるが、基本のシャーシの構造は変わらないようだ。
英国国王の戴冠式で使ったような馬車は、貴婦人でもステップを2.3段登れば乗り込めるよう、中央部をうんと下げてある。荷馬車のように前後の車軸をまっすぐつなぐことはできないので、おそらくお椀状にカーブを描く車体全体に頑強な構造が組み込まれているのだろう。初期の自動車は、そういう馬車にエンジンを積み込んだような構造をしている。

どんなマニアックなジャンルも、探せば詳細な情報が手に入るのがインターネットの良いところ。今回は昔の馬車の模型に関する専門サイトを発見した。
https://www.vclco.com/wagons-carts

三角バナーを一枚ずつ微妙に揺らすなど、細部にもけっこう凝ったつもりだが、いまいち馬車自体の構造がわからないのでごまかしてある。

タイトル画像の話

最近になってようやく、Blenderのマッピング機能のコツがわかってきた。CGの機能は、理屈や操作法は説明を読めばすぐわかるが、実際の画像に使うためにはコツを身に着けなければならず、それがケースバイケースなので難しい。マッピングというのは、造形物の表面に、別な画像を貼り付けて色や質感を表現する技法だ。今回の象のタイトル画像では、真っ白い象のぬいぐるみに「チェック布の柄」や「光沢のない布の質感」などを貼り付けた。床には「不利洗剤(?)のラベル画像」と「ガラス風に光沢や周囲のものを写し込む質感」を貼っている。
けっこうそれらしくできたが、顔から鼻にかけての部分を見れば、ぬいぐるみに詳しい人なら本物は布がこんなふうに伸び縮みしないというだろう。また、床にはぬいぐるみが映り込んでいるが、実際どんな角度でどの程度映り込むかなどは表示してみないとわからない。今回はちょっとくどいくらいだが、「実際にそういうものがある」感じは出ていると思う。思いつきさえ良ければ、爺様にもそれなりにかわいらしい画像が作れてしまうのがCGのいいところだ。