日本では、音楽の基本はクラシックで、何より大事なのは正確な音程。合奏は、正しい音程が出せるようになってから、と考えている人が多いような気がする。でも、クラシック音楽というのは、天才が作曲して天才たちが演奏する音楽で、アマチュアが楽しむにはあまりふさわしくない。楽器を演奏する人すべてがオーケストラのメンバーを目指すわけではなく、どちらかと言えばホームパーティや友人同士の飲み会を盛り上げられれば上出来という人のほうが多いだろう。
下手が下手なりに楽しむには、合奏がうってつけだ。ジャズやポピュラーのミュージシャンには、基礎も何もないのに成り行きでバンドのメンバーにされてしまったのがきっかけという人も多い。ジプシーの家族なら、日々の稼ぎのために、子供のうちから楽器を持って街角に立たされたかもしれない。ポピュラー音楽は、一人で基礎からコツコツというより、立ってるだけでも良いから合奏というほうが良いような気がする。
一緒にやってくれる仲間を見つけるのは難しいが、一人で弾いてると失敗が目立つが、仲間との合奏ならテンポさえあってれば、多少の音程の違いはごまかされる。手が止まってしまっても曲はちゃんと先に進んでくれるので、お互いに笑って済ませられるし、渾身のソロがうまく言ったときなど「やったね」という感じで笑いあえる。
小学校の音楽で、1時間だけでもブルースの基本を教えておいてくれればと思う。その日のうちにそれなりの合奏ができるようになるし、ほとんどの人が、その後の人生でクラシックよりずっとたくさん聞くことになる、ポピュラー・ミュージックをより楽しく聞くことができるようになるのにと思う。


