抹茶は海外でもすっかりポピュラーになり、さらに最近は麦茶や玄米茶、ほうじ茶も知られてきたという。ほうじ茶は香ばしくて飲みやすいので、初めての人でも抵抗がないのだろう。ほうじ茶にもわずかにカフェインが残っているらしいので、コーヒー、紅茶の代わりにもなる。
ほうじ茶は、茎などが含まれた緑茶の規格外品、「番外茶」を焙煎して作る。ほうじ茶を「番茶」と言う人がいるのはこのため。お茶屋さんの良い香りは、ほうじ茶を焙煎している匂いだ。
ほうじ茶は、焙烙(ほうろく)という素焼きの焙煎機を使って、自分で作ることもできる。お茶屋さんでほうじ茶にすると言えば、材料の番茶や焙烙が手に入ると思う。市販のほうじ茶も、焙烙で軽く焙煎し直してから煎れると格段に風味が良くなる。素焼きの焙烙の形も素朴で味わいがある。焙じた茶葉は筒状の持ち手から出す。茶道と違って、安いお茶を美味しく飲もうという庶民の知恵だ。風流とまでは行かないが、来客の前でひと手間かけて焙じて見せれば、立ち込める香りも何よりのもてなしになる。
