ほうじ茶と焙烙

抹茶は海外でもすっかりポピュラーになり、さらに最近は麦茶や玄米茶、ほうじ茶も知られてきたという。ほうじ茶は香ばしくて飲みやすいので、初めての人でも抵抗がないのだろう。ほうじ茶にもわずかにカフェインが残っているらしいので、コーヒー、紅茶の代わりにもなる。
ほうじ茶は、茎などが含まれた緑茶の規格外品、「番外茶」を焙煎して作る。ほうじ茶を「番茶」と言う人がいるのはこのため。お茶屋さんの良い香りは、ほうじ茶を焙煎している匂いだ。

ほうじ茶は、焙烙(ほうろく)という素焼きの焙煎機を使って、自分で作ることもできる。お茶屋さんでほうじ茶にすると言えば、材料の番茶や焙烙が手に入ると思う。市販のほうじ茶も、焙烙で軽く焙煎し直してから煎れると格段に風味が良くなる。素焼きの焙烙の形も素朴で味わいがある。焙じた茶葉は筒状の持ち手から出す。茶道と違って、安いお茶を美味しく飲もうという庶民の知恵だ。風流とまでは行かないが、来客の前でひと手間かけて焙じて見せれば、立ち込める香りも何よりのもてなしになる。

こういうのは外国人が好きそうだ。まだ知られてないと思うが、そのうち海外で流行るかもしれない。

解凍食品

先日、新メニュー「冷やしおでん大根」を作った。作り方は同じで冷やすだけだが、冷たさが効きそうなので大根だけにした。冷蔵庫でしっかり冷やしてから食べると、案の定、甘さと冷えが腹の底まで染み渡るようだ。問題は調理中が暑いこと。下茹でやだし汁での煮込み中の熱だけでなく、自然に温度を下げる間室内に熱源を置きっぱなしになる。夏にこそ食べたいが絶対に作りたくないメニューである。

実は最近冷凍の大判焼きを買う。レンジでなく自然解凍もでき焼き立てとは言わないが、家庭まで持ち帰って食べるのと変わりない。解凍途中で食べても、あずきやカスタードアイスの醍醐味もある。
他の料理でも自然解凍するだけで食べられるものがないか。そう思ってスーパーの冷食売り場を見たのだが、そういうものは見当たらなかった。強いて言えばお菓子類だけ、それもよりどりみどりと言うほどはない。料理類は熱を通すことが前提のものばかりだった。

調理の熱を出さずに自然解凍するだけで、好きな溶け具合で食べる、いわば「解凍食品」。冷食メーカーはなんとか栄養のあるメニューのバリエーションを増やしてくれないだろうか。でないと、冷凍ブロッコリをざく切りにして、ポン酢とマヨネーズをかけてかっ込んでしまいそうだ。

水餃子

日本人が餃子をおかずにご飯をたべるというと、中国人は奇異に感じるらしいが、これは中国の家庭では水餃子が主だから。水餃子はあまりご飯に合わないし、多めに作って食べると米はなくても十分満足できる。ということは、米価高騰の折に、うってつけの「断シャリ」メニューと言えるのだが...。

水餃子はちょっと難しい。5段階難易度評価で言えば、焼き餃子は皮を手作りしてもせいぜい2どまりに対して、水餃子は4に近いと思う。指先をひねるようにして綴じ目をよほどしつこく閉じないと、茹で汁の中でひっくり返ってるうちにスープが流れ出たり、綴じ目の甘い部分から湯が入り込み、肉団子とワンタンが別々に乱舞する。閉じ口が開くのは、具材を詰めるときに縁に具の油や水分がついてしまうからで、包んだ時の見た目が完璧でも、綴じ目に一滴でも水や油がつくとそこから開く。実は焼き餃子も甘い綴じ目からスープが吹き出ているのだが、鍋に置かれたまま蒸し焼きになるので気づかないだけだ。

水餃子は皮を手作りするのが定石で、既製の皮を水餃子にしたことはない。むずかしいかもしれない。紹介した動画も最善のレシピというほどではないかも知れないが、包み方が参考になる。無理にひだをとらず、綴じ目に力が入るのでしっかり塞がる。現地で一般的な包み方だ。具材は五素とあるので精進料理ということだが、別に肉でなくてもおいしい。

CGで水餃子を作ろうとしたが、チリレンゲを作ったところで挫折。決まった形のない物体は難しい。そのチリレンゲもちょっと形がおかしいが、せっかくなので控えめにご披露。