新冷やしメニューの探索

暑い。世界各地で、史上最高の暑さが観測されているらしい。というような話は、去年も、その前も聞いたような気がする。人類は、本物の破滅に向かっているのかもしれないが、なんとかなっているのがむしろ不思議だ。終末というのは派手な戦争などではなく、ゆっくりした滅びなのだという人もいるから、今がそうなのかもしれない。
ということで、世界が破滅してもメシだけは食わないとやってられないし、歴史的な暑さにソーメンだけで生き延びられるとは思えない。そこで、この暑さでも栄養をつけられる料理を探して、一般的な料理に「冷やし」とつけて検索してみた。レシピ投稿サイトには無茶苦茶なものもあるので採用しないことにして、食品メーカーや料理研究家のサイトにあったものだけ紹介する。
あっても不思議ではないものがなかったりするが、こうしたサイトを歴訪していると、なんとなく食欲がわいてくるのがいい。

<鍋物>
冷やしすき焼き
https://www.kurashiru.com/recipe_cards/e2e36563-28dc-4902-a0d0-84c6869af8ab
冷やし寄せ鍋
https://www.ebarafoods.com/recipe/detail/recipe3721.php
冷やしおでん
https://www.ninben.co.jp/recipe/4294/
冷やし水炊き
なし

<丼もの>
冷やしカツ丼
https://recipe.rakuten.co.jp/recipe/1310001833/
冷やし親子丼
https://foodservice.ajinomoto.co.jp/recipepro/recipe/28294/
冷やしうな丼
なし(冷やしうな茶づけはある)
冷やし天丼
https://news.nissyoku.co.jp/restaurant/hamada20170802050644704
冷やし牛丼
なし
冷やし豚丼
https://recipe.rakuten.co.jp/recipe/1170002646/

<油っこいもの>
冷やしアヒージョ
https://oceans-nadia.com/user/384216/recipe/439996
冷やし油そば
https://www.kikkoman.co.jp/homecook/search/recipe/00052305/
冷やし餃子
https://www.kurashiru.com/recipes/4f233ad9-7700-462c-95e6-46c44a78237f
冷やし揚出し豆腐
https://www.marusima.co.jp/post_recipe/1362

冷やし麻婆豆腐
https://www.kurashiru.com/recipe_cards/99608340-8214-4945-ac9e-2341daf4c536

<お菓子>
冷やしせんべい
なし

冷やしドーナツ
なし

冷やしやきいも
https://www.kurashiru.com/recipes/d0e04e3b-2ed3-4f18-8918-6746c8f68755

<上げ足取り>
冷やし氷水、冷やしソフトクリーム
いずれもなし

サバ缶ヴィンテージ

昔からサバの水煮缶が好きだった.特に食べるとすぐ崩れてしまう中骨と,身と違ってしっかり脂肪の残っている薄腹の部分の味わいは,他の調理法では得られない缶詰ならではのものだ.ところが大人になってから食べても,どうも醍醐味に欠けるような気がしていた.食生活が豊かになったせいだと思っていたのだが.

10年以上前,食品流通の会社を取材した際,サバ缶が旨くなるのは賞味期限が切れてからで,販売できなくなったものを,社員が奪い合いをするという話を聞いた.なるほど,自分の味覚が変わったのではなく,早く食べ過ぎていたのか.これは試さなくてはと思ったが,なんだかんだで実際に買い込んだのは2011年.これは足掛け6年に及ぶ,真のサバ缶の追求の物語である.

サバ缶は本当に消費期限が切れてからが旨いのか.確か子供時代のサバ缶は,1つ2つわざわざ買ってきたりせず,押し入れか何かからホコリを被ったようなのを出してきてた覚えがある.親の世代特有の食品買いだめをやっていたのだろう.冬に買い物が不便になる北海道で生まれ育ち,また戦後の食糧のない時代を経験してきた人たちは,決まって保存食を貯めこんでいたものだ.子供時代のサバ缶もそんな買いだめのひとつだろうから,普通に賞味期限切れもあったのだろう.

少しでも賞味期限の迫ったのを求めて,サバ缶はスーパーでもワゴンセールなどの見切り品を狙ったのだが,それでも期限は数年後になる.その時は面白がっていても,何年か後には絶対バカバカしくなってるだろう。そう思うと,しばらく手を出せないでいた.が,ある日,自分ももう若くないのだということに思い至った.たとえ無為徒食のような人生でも,年月の積み重ねには何かの意味があったと身を持って示したい.そこでついに数個のサバ缶を買い,他の恥ずかしい思い出の数々とともに,押し入れにしまいこんだ.そのとき、賞味期限の2015年某日まで4年.ちなみに,購入直後も食べてみた.サバ缶自体久しぶりだったが,やはり醍醐味に欠けた.期待していない鮮度だけが印象に残る味だった.

サバ缶のヴィンテージは製造日ではなく,賞味期限で語られるべきだと思う.2015年の賞味期限を1日だけ過ぎたある日,満を持して開封したそれは,まだ若々しさの残るヌーボーというべき味だった.悪くはないが,4年も待った甲斐があったと言えるほどではない.もしかしたら今のサバ缶は製造法などが変わり,ここが頂点なのか?望んだものは決してその通りには手に入らず,いつもかすかな失望を伴う.その時のサバ缶は,確かに人生の味がした.

で、先日,そんなことも忘れてしまっていた頃に,賞味期限をしっかり1年以上過ぎたサバ缶を見つけて開けた.ちゃんとホコリを被り,心なしか色あせたように見える缶.できればプルトップではなく缶切りで開けたかったが.

ただし,開けた時の景色は,期限切れ直後の去年とはだいぶ違っていた.若い缶は隙間なく身が詰まっているが,今回のは身が溶けて細くなったのか,煮汁の隙間で泳いてるようだ.また,若い缶のようなピンクっぽい鮮やかな身の色や,骨の硬さはどこにもない.煮汁の透明感はなくなり,ところどころに白いモヤのような凝固物がただよう.味は全体に塩味がよくまわっていて,コクが増している.アミノ酸も増えているようだ.

それは昔と同じだった.ただそれだけのことが実にうれしい.

鯖水煮缶

次回「リズムとズレ2」(6/20投稿予定)
乞うご期待!

回鍋麺と白糸くずし

クックパッドというレシピ投稿サイトがある.メニューの登録数は230万種類といい,およそないものはないというくらいだ.なにしろ日本中の料理自慢が投稿するのだから,家庭的なもの,プロ顔負けなものはもちろん,キャラ弁のように,新しい食のブームやクールジャパンのネタが,ひっそり埋もれていたりする.
ここに載ってないものを考えるのは至難の業なのだが,去年1つ考えた.ごくゆるく,味を濃い目に作った茶碗蒸しをギンギンに冷やしておき,そうめんのつけツユ代わりにする.名づけて「白糸くずし」.普通のツユよりも身体が冷え,栄養もとれる.夏の最中にもってこいの一品である.
そしてこのたび,クックパッドにないメニュー第2弾を考えた.名づけて「回鍋麺(ホイコーメン)」.レシピも何も,名前の通り回鍋肉をラーメンの上にかけたもので,甜麺醤を使うので味は炸醤麺(ザージャンメン)と同じ.どこかにあってもよさそうなものだが,見つけられなかった.日本中の腕自慢を敵に回して勝ったようで,実に誇らしい.
ちなみにクックパッドには載せない.以前はこういう参加型の新サービスが出るたびに試してみたのだが,最近はそれをやるとうるさいほどメールが押し寄せるようになる.手を変え品を変えて顧客情報を収集し,徹底的に使い倒す.が,それは,メディアとしてのネットの魅力を削ぎ,オールドメディアと同じ道を駆け足で進むことになるだろう.そろそろ根本的に考えなおしてもいいように思う.例えば,登録してくれたら,メールを送らないでいてやる,というように.