消費者希望米価

国際消費者物価監視機構日本本部(ICPO-JAPAN)では、世界的な物価高騰に対し「消費者希望価格」調査の実施が決まった。これは、消費者からみた適正な価格をネット投票などの方法で集計。公表するもの。その第一弾として、4月1日より「消費者希望米価」調査を実施する。

というのはウソで、今年のエイプリルフール用に用意していたのだが、現実の米騒動のほうが面白くなってしまったのでお蔵入りにした。もしかして来年でも通用するならそれまで備蓄しようかとも考えたが、できるだけ早く解決してほしいし、そんなに長引いたら政変が起こってしまいそうだ。

流通時点の価格や店頭での実売価格など、米価の指標はいくつかあるが、これだけ事態が混迷した上は、消費者が「いくらなら買いたいと思ってるか」こそが最も重要な指標だ。現代ならネットで集計も公開もすぐできる。そしてそれは関連業界にとっては衝撃的で、流布してほしくない数字になる可能性は大きいし、一方消費者にとってはまだまだ手ぬるいという価格になるだろう。流通業にとっては、何をおいても知りたい情報になるはずだ。

本当にやったら面白いことになると思う。いたずらなどもあるだろうが、徐々に一定の数字に収束してゆくと思う。それはおそらく現状の店頭価格よりほんのちょっとだけ低いものになるが、同時に組織票の存在が発覚する。そこまでがワンセットだ。うまくいけばみんなが知りたがっている、「暗躍している誰か」まで明るみに出せるかもしれない。だったら面白いんだがなあ。

AI担当者と親切なジョーンズ氏

今、ある高齢者世帯に役所などの介護関係者から、あなたの担当ですと挨拶の連絡があったとする。若いが落ち着いた声で、365日24時間、いつでもどんな質問にも答えてくれるだけでなく、長時間の雑談にも快く応じてくれる。なぜか高齢者が勤めてきた業種の情報にも詳しいので、いやが上にも話がはずみ、ちょっとした生きがいにもなる。これからもしそういう担当がいたら、それは間違いなくAIだろう。

実はこれに似た仕組みはAIができる前から存在した。インターネットが普及し始めたころ、ある企業のメール窓口はジョーンズという名前だったが、彼にメールで問い合わせれば、どんな部門に関する質問でも、正確に親切に答えてくれるので、顧客の間では「親切なジョーンズ氏」としてちょっとした有名人だった。これはもちろん担当部署にメールを転送して、ジョーンズの名前で返信させたからで、ジョーンズ氏が実在したかどうかは怪しい。

だが、この話を聞いた時、私もなんとか応用できないかと考え、顧客からの連絡はできるだけメールを使ってくれるように誘導し、そのかわり問題箇所に関する図やマニュアルまで作成して返信するようにした。これは一見対応が遅いように思えるが、外出中などに連絡されても、後刻調べて連絡すると言うくらいしかできない。賢明な顧客は、すぐメールのほうが結局早く正確に対応してもらえることに気がついてくれる。中には不満を述べる相手もいたが、そういう「感謝の足りないタイプ」は結局持て余すので、縁が切れれば負担が減った。

現代の組織にも、顧客からのメールを担当部門に転送する仕組みはあるが、経費や時間の削減を目的にするだけでは、単なるたらい回しシステムである。介護に限らず、これからさまざまな分野でAI応対窓口が置かれるだろうが、架空の人物を作ってでも顧客の満足度を高め、競争優位を実現するというようなしっかりした戦略がなければ両刃の刃になる。直接人間の心にタッチするものだけに、「親切なジョーンズ氏」と「手抜き」くらい違う印象を与えてしまうだろう。

親切なジョーンズ氏はAIだった、という画像を作ろうとしたが、顔をメカっぽくすると暗いSF近未来映画のようになってしまう。

タイトル画像の話 / 無題

またしてもタイトルが「無題」になってしまった。記事のことを考えると、何かしらの具体的なタイトルが欲しくはあるのだが。

タイトル画像 / 無題

画像を作る時、最初からタイトルやコンセプトを決めつけてそれをめざす場合もあるが、なんとなく造形物をいじっていてひらめくこともある。今回は後者のほう。
近年だと、タイトルやコンセプトが最初に決めると、AIのほうができが良い場合がある。一方、ひらめき型は出来上がりを見ても言葉で説明できない。こういうタイプはAIに作らせようとしても、言葉で指示できないのでやりにくいと思う。そのへんにこれからのAI時代のクリエイティビティのヒントがあるような気がする。同じようなことを考える人は少なくないようで、今、新しく公開される画像作品の中に、リアルのペンや筆のタッチを活かしたものが多くなってきたように思う。また、AI画像では看板などに掛かれた文字が、意味のない図形になりやすい。そのへんに気がついた人が出てきたようで、手作業のレタリングやカリグラフィ作品の公開も増えてきたように思う。
本作はCG技術としてはいたって貧弱なので公開を迷ったが、AIに作らせにくいということで使うことにした。低技術、ローポリゴンCGももっと見直されてもいいと思うので。

生成AIはクリエイターに大きな重圧を与えていることは間違いないが、プレッシャーが新しい創造活動の原動力になる例も少なくない。AIに何ができるかは興味津々だが、そちらは適当なところで見切って、新たに生まれるものも見逃さないようにしたいと思う。