ハリウッドの黒人枠

若い頃にあれほど観ていた映画や海外ドラマを、しばらく観ないできたが、最近はレンタルが借りやすくなったり、ネットで動画配信サービスがあったりで、また観るようになった。古巣に帰ったような懐かしさと、もの珍しさで大いに楽しんだが、しばらくすると違和感を感じるようになった。登場する黒人の描かれ方のせいである。

  • どの作品にも、黒人が登場する。
  • ほとんどの場合善玉で主人公の味方。
  • 知能や学歴が高く、博識、モラルが高い。
  • 主人公の上司や学者、弁護士など、社会的に高い地位にいる。

など、一作だけ観れば何の問題もないのだが、観る作品、観る作品、このパターンなのだ。一旦そういう目で観ると、別に黒人である必要のない役だったり、そこまで豪勢な人物設定をつけなくても良い役だったりする。反差別クレームを恐れてのキャスティングらしい。多分、反響の大きい人気作品ほど、黒人枠に配慮しなくてはならないのだろう。こちらもそういう厳選作品だけを選んで観るので、特に黒人枠が気になってしまう。

こういう黒人枠は、いわば免罪符的な配役だけに、”愛嬌”がないのだ。登場した瞬間に、こいつは悪の張本人じゃないと読めてしまう。そして案の定、優秀な分融通が効かず、自由な主人公に高圧的だったりするが、最後は身を挺して主人公を助け、感動的な言葉を残して死ぬ、というパターンになる。いくじがないくせに大げさに騒いで主人公の足を引っ張るとか、はした金で裏切るとか、話を面白くしてくれない。

黒人だけでなく、女性の配役にも同じような傾向を感じる。金髪でキャーキャー騒ぐだけのお色気要員など、絶対に登場しない。だいたい知的で勇気があり、男性と対等に仕事をこなすという、スペックは高いが薄っぺらな人物ばかりになった。演技と現実の区別できない人が増えたのだろうか。
マリリン・モンローは、とてつもなく知能指数が高かったから、あのお色気ムンムンの頭カラッポ女を演じられた。仕方がないのかも知れないが、はじめに「枠」ありきだと、連続猟奇殺人犯や圧倒的な暴力キャラなど、俳優としてやりがいのある役を黒人が演じられなくなってしまうような気がする。

 

6 thoughts on “ハリウッドの黒人枠

  • 5月 13, 2018 at 17:05
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    黒人枠とかは多分自主的な配慮をしてるんだろうと思いますけど
    証拠が無いところがどうにもよく分からない所なんですよね、、、

    スターウォーズのメイスウインドゥって黒人枠だったの?
    エピソード7のフィンも黒人枠なの?
    ゲームやアメコミに出てくる新キャラが黒人だったら、それも殆ど黒人枠なの?

    みたいな疑問がちょっと浮かんだんですけど、正直考えても分かりませんでしたね
    黒人は善玉が多い様な傾向はあると思うんですが、
    それは配慮された結果なのか監督が自然体でそうしたのか作品事に区別付かないです

    トレーニング・デイのデンゼル・ワシントンみたいな大胆な黒人悪役が増えて欲しいですね

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  • 4月 4, 2018 at 06:25
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    ハリウッド映画の登場人物は、いわゆるアメリカ社会のお手本(教科書)なんですね。裏を返せば、実際にはその真逆とも言えますね。教科書には、真実を曲げても現実そのままは書かれません。映画は教科書みたいなものかも知れません。ハリウッド映画について、当のアメリカ人は?(と言っても白人たち)どう評価しているのか?も知りたいですね。

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  • 4月 4, 2018 at 06:18
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    日本のプロ野球でも外人枠が決まっています。アメリカのメジャーリーグでも人種差別的な選手起用もあるようです。中でも特に優れた選手は別として、日本からメジャーに行った選手で直ぐ戻って来る理由の一つに、なかなか出番が無く、従って活躍できずに、その結果成績も残せずに監督の匙加減で戦力外通告されたり、契約更新されなかったりして帰国するケースが多いですね。監督が黒人ならまだしも、特に白人の監督のチームにその傾向が見られます。私たちは黒人だけが人種差別を受けていると思いがちですが、白人主導の社会では、東洋人も有色人種として同じ様に扱われているようです。

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    • 4月 4, 2018 at 08:22
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      欧米の差別は、日本人の嫌韓などとはレベルが違いますからね。知人の元デザイナーは、イギリス入国の際に肛門に指を入れられて密輸品がないかどうか検査されてから、欧米人ぎらいになりました。当人がちょっとヒッピー(古いですね)な感じだったこともあるでしょうけど、白人にならやらなかっただろうと思います。

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  • 4月 4, 2018 at 06:08
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    それこそ人種差別、男尊女卑のカモフラージュですね。人間が平等ならそれなりに変な気づかいは無用でしょうね。それなら、むしろ、すべて黒人の映画があってもいいのかも知れませんね。男優も女優も監督も。アメリカで上映すれば見ない人も大勢いたりするかも知れませんが。黒人映画、白人映画、東洋系映画、インディオ系映画?人種差別と言われますか。それぞれの文化や考え方を知る上では良いかも知れませんよ。

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    • 4月 4, 2018 at 08:17
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      白人ばっかりの映画でも、黒人のチンピラが出る映画でも、作りたければ作ればいいのにと思いますね。今は、ほとんどインディアンの出てくる映画はありませんが、そんなふうにせっかくの面白いテーマがタブーになってしまったのなら残念です。

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