ビブラートは難しい.ここ数ヶ月,時間を見つけて練習しているつもりなのだが,さっぱり条雑しない.この歳になって,未だにあきらめたほうがいいのか,もう少し続けたほうが良いのか見極めもつかないというのは珍しい.おまけに腕や手首が痛くなってくるので,そもそも年齢的に無理なのかと思うほどだ.
また,人差し指が多少動くようになっても,中指に換えると動きが止まってしまう.薬指や小指だとなおさらだ.これを曲の流れの中で,意識せずにできるようになるとしたら,年単位の修練が必要かもしれない.
しかし,ビブラートの練習は単調だが,決して退屈ではない.安定した長い音を出した上で振動させなければならないから,これまでいいかげんにやっていた弓の動きを見直すことができる.長い音のためには弓を根本から先端まで,まんべんなく使わなくてはならないが,今までどうも動きが楽な真ん中あたりばかり使っていたようだ.特に手元のほうになると,弓の角度が曲がって,となりの弦を触ったり,ギチギチ音が出たりする.また、中ほどから先の時は弓を弦の上に乗せてしまってもいいが,手元に来るとテコの原理で,それでは力がかかりすぎてしまので,持ち上げるくらいの気持ちが必要なようだ.
そして音程.最近は季節の変わり目以外は調律の必要もないくらいだが,練習中はチューナーをつけっぱなしにして,ビブラートによる指の位置ずれもチェックする.音程から弓の角度,手首の振動まですべてを同時に意識しながら弾くので,単調なロングトーンも,弾いてる方はスリリングで楽しい.
次回「ハラール」(10/26公開予定)
乞うご期待!