金門島

台湾海峡で緊張感が高まっているが、1976年に中国との最後の戦闘があったという台湾領の島、金門島を地図で確認して驚いた。台湾の一部というより、中国の厦門市の湾内の小島としか思えないような場所だったからだ。

中国との国境(赤い点線)で囲まれた、リボン型の島が、中華民国金門県(金門島)。大きさは日本の小豆島と奥尻島の間くらい。
日本は台湾政府を認めていないので、地図には中国との国境線は描かれていない。
中台両国の間に、このような場所があることは、地図を見ているだけではわからない。

太平洋戦争中、金門島は日本が占領していたが、終戦後日本の撤退後は中共軍と蒋介石軍との戦闘の場になった。中国からは島の全域に砲弾が届く近さで、もっとも近い場所は小銃弾も届くのではないかと思われるほど近い。米軍の援護もあり、1976年に最後の戦闘を最後に、台湾は金門島を守りきった。このときの戦闘機同士の戦いが、歴史上最後の空中戦だと言われている。

現在の金門島の住民14万人の、中国に対する思いは複雑なようだ。敵国とは言え、対岸の厦門市で、次々と高層ビルが建築される様子を目視できるだけに、経済発展の恩恵に預かりたいと考える人も多い。またインフラについても、2018年、金門県政府は台湾本国の反対を押し切って、厦門市からの水道水パイプラインを開通させた。さらに親中派の県長らは、一国二制度を導入して中国との関係を深めることも提案していたらしい。

そこでもし中国が香港の一国二制度を遵守し、穏便な運営を続けていたなら、金門県もいつか中国の一部になっていたかもしれない。が、中国の戦狼外交のおかげで、その機会も遠ざかった。この島に住む人々の不安は、我々の不安など及びもつかないだろう。いずれにせよ、今後中台両国に大きな動きがあったときは、真っ先に金門県の消息を調べるようにしたい。

金門県の人工は14万人。政庁の庁舎や繁華街は探し出せなかったが、空港や大学もある。

金門県政府HP

4 thoughts on “金門島

  • 4月 26, 2021 at 15:30
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    昔からの顔なじみのお隣さん同士?のようなものかも知れない訳ですね。脅したり騒いだりしているのは共産党幹部と政治家や軍部ですね。中国人も一部を除いて皆が共産党員では無いでしょうからね。一般人たちにとっては、お隣同士仲良くしていた方が商売上もいい訳ですね。

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    • 4月 26, 2021 at 16:01
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      中国人は、けっこうお上の悪口を言いますね。聞いてて大丈夫かなと思うほどです。国や理屈より、家族、友人のほうが大事で、相手が日本人だろうと同じです。奥さんに怒鳴られても黙って我慢するようなおとなしい人が多いですね。

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  • 4月 26, 2021 at 11:59
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    本島から離れ、対国に超接近しているとは?最近の噂を考えると危険すぎますね。しかし小さな島に14万人もの人々が暮らしているとは?驚きとともに、そこでどんな暮らしをしているのか?も興味が有りますね。貸しボートかゴムボートか何かで、本国よりも中国に行けそうな島ですから不安は日に日に増しているのでしょうね。

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    • 4月 26, 2021 at 13:12
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      泳いでいける人もいるでしょうね、あたたかそうな海ですから。本島とは飛行機があり、中国とは連絡船もあるようです。だからなおさらややこしいです。昔の中ソ国境紛争の最中も、中国人の行商が大勢国境を越えて商売してたそうですから、ここでも騒動が始まるまでは商売してるんだと思います。土地の人には、国も政治も関係なく、ただ迷惑なだけでしょうね。

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