マック・ザ・ナイフ

ジャズ・プレイヤーにあまりにも多くとりあげられているので、ポピュラー曲のように思うが、作曲家はクラシック畑の、クルト・ヴァイル(独1900-1950)。
ということで、きら星のように動画が存在するので、ひとつ選ぶのは難しいが、今回はソニー・ロリンズで。「サクソフォン・コロッサス」のモリタート(マック・ザ・ナイフ)は超有名だが、私自身子ども時代に発表されたもの。その後何度も日本、しかも北海道までコンサートを開いてくれた人なので、電気楽器をバックにして、メタル製のマウスピースで吹くようになってからの、新しい演奏のほうが親しみやすい。これは’81年、日本での「ライブ・アンダー・ザ・スカイ」コンサートの様子。

ちなみにソニー・ロリンズは、本当に”即興で”ソロをとるプレイヤー。ジャズメンなら当たり前だと思うかもしれないが、いわゆるアド・リブ部分は、即興でなく、練習時に作りためておいたフレーズを出しても一向に構わない。聞く方も作り置きかどうか、区別がつかないのだから。
ソニー・ロリンズは、本当に即興で、しかもコードやモードを再構成して作ったというより、ちゃんとメロディとしても聞こえるフレーズを紡ぎ出す。コンサートでは興に乗って予定以上のソロを続けたり、ところどころにしゃにむなフレーズを入れて、メンバーを戸惑わせたりする。そのへんも魅力だ。

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出港はいつ?映画「バトルシップ」

6月17日、アメリカのイージス艦とコンテナ船が衝突。このため、映画「バトルシップ」のTV放映が中止になった。(この記事参照)その後、9月に放映されることになった矢先の8月21日、今度はマラッカ海峡でアメリカ駆逐艦「ジョン・S・マッケイン」がタンカーと衝突事故を起こし、今回も犠牲者が出た。

さて、これはどういうことだろうか?戦艦とは言え貨物船が衝突すれば、犠牲者が出るほどの被害を受けることは前回で分かった。2度めというのが、偶然だけではなく何らかの原因があるとすれば、米海軍の士気が下がったり、訓練不足の兵士が乗船しているのか。そうだとしても操船だけはベテランが担当するだろうから、原因としては考えにくい。では、アジアの情勢が不安定になる中で、イレギュラーで無理のある行動をとっているのだろうか。だとしても、6月に事故を起こしたばかりで、立て続けというのはないと信じたい。

では、民間船側に原因があるとすれば、テロだろうか。これも考えにくいことではあるが、もちろんアメリカはその可能性も真っ先に検討しているだろう。それまで通常の業務をこなしていた、互いに無関係なはずの2隻の乗組員がすべてテロリストに入れ替わるというのも考えにくい。が、マラッカ海峡といえば、海賊の名所だ。海賊と言っても海賊保険のようなものもあるだろうし、乗組員が命をかけて抵抗する必要はない。船主と海賊の、金銭の交渉だけなので、乗組員はあっさり「海賊」を乗船させてしまうかもしれない。

船籍も目的地もはっきりしている民間船が、多少不自然に近づいてきただけで、ミサイルをぶっ放すわけにはいかないだろう。が、それまで互いに手でも振ってればよかったのに、民間船が見えたら米軍は射撃準備くらいはするかもしれないし、民間船も心中穏やかではなくなるだろう。

ちなみに映画のほうは、なんとなく不穏な空気を吹き飛ばしてくれる、痛快娯楽作品である。

続々々魂柱記


見よ!これが今回、ネットを検索しまくって調べた、自作の新型魂柱立てである。不安定な魂柱を、2本の針金に据えて糸で押さえつける。糸は長く伸ばして、器具の反対端にしっかりとくくりつける。これなら多少魂柱が内部に触ろうが外れたりしない。立て終わったら糸を引き抜く。金具の各所の長さは、バイオリンのサイズや立てたい位置に合わせて針金を折り曲げてその都度作る。
旧器具を使って場所の調整をする間、つけたままにしておいてもいい。私はさらにブリッジを立て、ある程度弦を張って魂柱を押さえつけるまで器具をつけたままにして、最後の最後で糸を抜いて器具を引き出した。旧立て具とは比べ物にならない、安定した作業だった。

ただし魂柱自体の長さはやや長くしすぎたらしく、いわゆる正しい場所、ブリッジのやや後ろあたりには立てられなかった。そのあたりは、天井と床の幅が狭かったのである。だが、構わずにチューニングしてみると、なんと、決しておかしくはないのだ。問題だった第一弦の途中の音が出ない症状も解決されている。こうしてまぐれにも、古いボロバイオリンは蘇ってしまったのだ。

私は今や得意の絶頂だが、更に増長して、ここに自己流の魂柱理論を披露したいと思う。以前から魂柱は音を伝えるのではなく、ただのつっかえ棒だと思っていた。これがないと弦を締めればしめるほどブリッジが下がり、他の弦が緩んでしまう。やりすぎれば板にヒビが入ってしまうだろう。とは言えブリッジの真下におけば、振動を抑えてしまう。だから魂柱はブリッジをやや離れた位置、できれば振動の「節」に当たる位置におかなければならない。
だが、アフリカの太鼓をたたいてわかったことだが、平面の振動はかなり変わっていて、節は面の何箇所にも存在する。だから、最高、最善でなくても、大したことのないバイオリンがまあまあ鳴るような魂柱の立て場所が、あちこちにあっても不思議ではない。

こんなことを書いていいのだろうか。しかし、後からあれはやっぱり間違いでしたということになろうとも、今は言いたい放題の有頂天である。とは言え、魂柱が長すぎるのは確かだから、そのうちもう少し削って立て直してみようと思う。私の魂柱記は、まだまだ終わらないのだ!