以前にも登場した、コール・ポーター(1891-1964)の作曲。演奏は、これが本コーナー初めての登場となる、オスカー・ピーターソンである。スウィングやラグタイム時代のピアノを思わせる、明るくて、切れ目なく沢山の音を紡ぎ出すテクニカルな演奏で、日本でも人気が高い。ジャズ界きっての超絶技巧派、88鍵をすべて使い切りミスタッチのない完璧な演奏など、この人の評価はテクニックにかかわるものが多いが、私はむしろ気取りのなさやリラックス感など、カナダ人らしい人柄の良さを感じる。82年に脳梗塞で倒れた後、リハビリで復帰。07年に82歳でなくなってる。このあたりの経緯はよく知らなかった。来日回数も多く、アルバムと印象が変わらない安定したステージを見せてくれる人だった。
Month: 8月 2018
ヴァイオリンの消耗品
ヴァイオリンには100年以上も使われ続けてきた名品があるくらいだから、本体の寿命は長いのだろうが、それ以外のものは、けっこう寿命が短い。まず弓は半年くらいで交換するのが理想らしい。弓は寿命が来ると毛が抜け始め、見るからにまばらで寂しくなってくる。弦に擦れて切れるだけでなく、毛を束ねている元が劣化するのではないかと思う。また、毛自体が伸びてきて、張力を強めてもピンと張らなくなってくる。きちんと練習する人なら劣化も早いので、それこそ半年で取り替えなくてはならなくなるのかもしれない。私は2年以上使っているが。
ただし、毛だけを取り替えることはできるらしい。
この他、弦も消耗品だ。弦は弓以上に頻繁に交換しなければならないようだ。ギターと同様か、ギターより頻繁に替えたほうがいいのかもしれない。松脂も使うほどに当然減っていく。新品は琥珀色のカンロ飴状態だが、ヒビが入ったら交換したほうが良いと言われている。もし欠けてしまい、欠片が毛の間に入ったらまずいからだろうが、凹型にすり減った松脂は、練習の証拠のような気がして愛着があり、ヒビのまま使っている。
長い目で見ればブリッジも振動で弦が食い込んでいくので、交換か修繕をしなければならないようだ。また、ヴァイオリンのヘッド部分のペグを差し込む穴も、長年力をこめて回し続けると削れていくので、ペグを交換し太い部分できちっとはまるようにするらしい。
初心者でも良いバイオリンを手にしたほうが良いに決まってるが、付属品、消耗品を高価な本体に見合うようなものにすれば、数年で消耗品の費用合計が本体を上回るような気がする。
新しい音楽
人間は中年ころから新しい音楽に興味を持てなくなる。さらに高齢になると、音楽を楽しんでいる人でも、聞くのは若い頃に知った曲だけで、新しい曲は覚えられない。という学者の研究があるそうだ。
いや、それはないだろう。少なくとも自分なら、初めて聞く曲でもものの2、3回聞けば、鼻歌で歌えるようになるはずだ。なんなら試してみようじゃないか、ということで、今まで聞いたことがなかったが、良い曲だと思ったものを覚えることにした。
選んだのはリベルタンゴで知られるアストル・ピアソラの「oblivion」。もちろん非常に有名な曲なのだが、タンゴはあまり詳しくなかったので、私は知らなかった。でも、ゆったりとしたきれいな曲だな、これなら…と思って、2.3回聞いた後で脳内で再生しようとすると...あれれ?
楽器の音色や雰囲気は思い出すのだが、メロディが出てこない。これはまずいぞということで、時間の許す限り、作業中でもBGMとして聞いて耳タコ状態にし、何十回か聞いた頃には脳内再生もバッチリになった。と思って、今度は外出中に鼻歌で歌ってみると、出だしはスムーズだったが、途中から違う曲のフレーズが混じってきた。やはり寄る年波には勝てない部分があるようだ。
※動画は、イタリアのマリオ・ステファノ・ピエトロダルキというアーチスト。まだ30代で、数々の賞を獲得したと言うから、これから有名になっていくかもしれない。それにしても、演奏中の陶酔っぷりは大したものだ。これに比べればロックなどの激しいステージ・パフォーマンスも、まだまだショーっぽい感じがする。