ポストコロナ型ベンダー

自粛期間中、スーパーでは入り口のアルコール設置から始まり、商品のパック化、レジでの釣り銭の手渡し廃止と透明ビニール遮蔽幕、チラシ廃止と、新しい工夫が導入された。インストアベーカリーでは、むき出しだったパンが個別にビニール梱包され、トングが廃止されて使い捨てのビニール手袋が設置された。商品ケースは透明の引き戸がついていたが、それも人間が触らないよう、引き戸を取り外してしまった。こんなふうに対応が変化し続けたのは、徐々に明らかになるウィルスの性質に合わせて、対策を考え続けていたからだろう。おそらく店内だけでなく、バックヤードやさらにトラック、物流センター、メーカーや生産者で、感染防止のためにはかりしれないほどの工夫がなされたと思う。

さて、人と人との接触を断った販売という点では、自販機の真骨頂である。AED設置型もあるくらいだから、非常時にはいつもの商品に加え、マスクなどを販売できるといいと思う。大した数ではなくても、ドラッグストアに行列ができるのを少しは緩和できるかもしれない。商品の殺菌は補充作業段階で注意するとして、できれば釣り銭も紫外線ランプか何かで殺菌したい...。と、こんなことはメーカーがもう考えているかもしれないが。

環境の激変が生物の進化の原動力になったそうだが、コロナウィルスに対して、社会は実に柔軟に姿を変えつつある。第二次世界大戦では、初期の戦闘機は複葉機だったのが、終盤にはジェット機が登場した。戦争もパンデミックも二度とごめんなので、なんとか平和でありながら進化することはできないものかと思う。

Giant Steps

John Coltrane(1926 – 1967)の曲。

なぜサムネールに子供が,、と思ったかもしれないが、実際に子供なのだ。ジョーイ・アレキサンダー(2003年生まれ!)の、5年前(!!)だから11歳(!!!)の演奏である。

演奏は自由自在で長めのイントロから始まる。コルトレーンはどこに行ったかと思う頃に、ベース、ドラムとともにおなじみのテーマが始まる。もともとがどこに連れて行かれるかわからないようなややこしいコード進行で、うかつに手を出せないような曲だが、自分なりにしっかり消化し、さらに本家へのリスペクトも十分感じられる。堂々たる練達ぶりだ。

ジョーイ・アレキサンダーは、インドネシア バリ島生まれで、父親のジャズ・アルバムを聞きながら独学でピアノを身につけたという。
楽器は体格にも左右されるので、どんなに指が動いても、小柄だとなかなか音圧が出ないのだが、力負けした音がない。体は子供だが指がかなり長い。大人の私より長いのではないだろうか。
他の動画では、コルトレーンだけでなくソニー・ロリンズやビル・エバンスなど、普通のプレイヤーなら気後れしそうなジャズの巨人の十八番を、次々自分のものにしている。詩情あふれるソロがあるかとおもえば、ソウルフルなゴスペルもあるというように、音楽的な引き出しの多さも感じさせる。さらにオリジナルもあるそうだ。もしかしたらあまりに若いので、音楽のジャンル分けや、古い新しいなどにおかまいなく、あるがままに良いと思ったものを受け入れているのかもしれない。

若い頃にジャズを聞いたときは、コルトレーンなどの巨人たちが、ジャズを行き着くところまで高めてしまって、後は衰退しかないんじゃないかと思ったが、長生きはするものである。こうして、巨人の偉業を踏み台にしていく才能が現れるのだ。とはいえ、11歳というのはどうにも信じがたく、これは全部CGと合成音楽でしたと言われたほうが納得がいくくらいだが。

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STROH VIOLINがやってきた

本ブログには「60歳になってからバイオリンを始めてみた」というメインテーマがある。ネット上でバイオリンが思ったより安かったから買ってしまったのだが、そもそもバイオリンに興味を持ったきっかけがSTROH VIOLIN(シュトローヴァイオリン)という不思議な楽器を知ったことによる。

かれこれ10年以上前、世界の珍しい楽器を紹介するサイトで見つけ、販売しているサイトを探してみた。が、どこでも売っておらず、あってもぼったくりか怪しい業者だけだったので手を出せないでいたのだが、このたびたまたま出品されているのを発見し、手に入れることができた。
STROH VIOLINは、1900年にJohn M.A. Stroh氏によって発明された楽器である。当時、蓄音機はすでにあったが電気式ではなかったため、録音する際には、音量の小さいバイオリンは記録しにくかった。そこでラッパ管をとりつけて音を増幅したのである。やがて1920年ころから電気式の蓄音機やマイクが登場し、STROH VIOLINは歴史から姿を消していった。現在では骨董品か、タイ辺りで作られているレプリカしか、手に入れる方法はない。これはタイ製だと思われる。

海外から特殊な楽器を買うのには心配はあったが、以前アフリカの太鼓を買っていた頃の経験からすると、あまりにも特殊なものにはニセ物が存在しない。問題はコンディションだけであるが、届いた状態は良好だった。何箇所か気になる点はあり、特にブリッジは山形のカーブが平坦で、隣の弦を一緒に弾いてしまうので新品から削り出さなくてはならない。が、それも楽しみのうちである。8千円の激安バイオリンで試しておいてよかったと思う。