Blues For Alice

Charlie Parker(1920-1955)の曲。演奏はChad LB。チャーリー・パーカーとはいえ、私にはちょっと馴染みがなかった曲だったが、今回ぜひ取り上げたいt思った理由は、アップライト・ピアノの音が好きだから。大抵の音楽動画はホールやスタジオなのでグランド・ピアノがほとんどだが、私はアップライトの、余韻が短くうねりもない、パキパキと乾燥したような音が好きだ。特にこの曲のような軽快なジャズには、グランドよりいいのではないかと思う。
ところで、タイトルにはブルースとあるが、あまりブルースらしく聞こえなかった。複雑なコードを使ってる上に、メジャーのブルースだからだと思う。マイナーだといかにもブルースらしいコード進行が感じられるが、メジャーだとブルージーな雰囲気が少ない。多分、メジャーブルースのほうが、演奏は難しいような気がする。

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血圧管理手帳

私もそうだが、高血圧で通院中の人は「血圧管理手帳」を渡されて、自分で計測して記録するよう勧められるはずだ。けっこう長い間習慣として続けてきたので、使用済みの冊数も溜まっている。昔の血圧の記録など何の役にも立たないが、日記が精神の記録なら、血圧手帳は心臓や血管が活動し続けてきたという、いわば命の記録ともいえる。そう思うとなかなか捨てるのは忍びない。

長年血圧値を見続けていると、自分なりの体調との関係がわかってくる。心当たりがないのに急に上がった場合、まもなく風邪の症状があらわれる、というようなことも何度かある。自分も高血圧の症状が出て、はじめて病院へ行ってから記録をつけはじめたが、若くて健康な頃から記録を取っていたなら、その後高血圧患者にはならなかったような気がする。もしかしたら、それで数年寿命が稼げていたかもしれない。とはいえこれは一部のアスリート以外、無理だろうけれど。

以前医者と、血圧手帳は医療器具の一種という話をしたことがある。薬品会社の配るオマケではないのだ。だから時折モデルチェンジされると、書き間違いやつけ忘れが増えて、非常に困る。記録作業が習慣化していると、ちょっと変わっただけで混乱する。血圧が上がってしまうかもしれない。自分に適応力がないのかもしれないが、医者だって手術室に入ったら見慣れない形のメスが並んでいた、なんてことになったら困惑するのではないかと思う。

月に1回、病院の診察して計測してもらう血圧も、日々過程で記録する血圧も、医者にとってはどちらも重要な指針のはずだ。なるべく多くの患者に記録をとってほしいと思っているだろう。そこで、使い切った手帳には病院で記念スタンプを押す、というのはどうだろう。いわば大人のラジオ体操カードだ。どんな小さなことでも、見返りやご褒美というのは大人になっても、モチベーションにつながる。商店のスタンプだって、景品がほしいというより貼り続けて完了させたトロフィーがうれしいのだ。高齢者の場合は通院を続けても、若返って体調が急激に良くなることなどはないから、律儀に記録するのが億劫になるかもしれないが、高齢者こそ日々の記録が重要だろう。ささやかなご褒美が、案外効果的な気がする。

Can’t Get Out Of This Mood

Frank Loesser'(1910-1969), Jimmy McHugh(1984-1969)の作品。知らない曲なのだが、いかにもモダンジャズという演奏ぶりに、懐かしささえ感じる。歌は、前回も登場したSAMARA JOY。

歌手がアドリブも歌う。スキャットだったり、歌詞があったりスタイルの違いはあるが、いずれもエラ・フィッツジェラルドやサラ・ヴォーンが切り開いたスタイルで、原曲が発表された頃にはなかったやりかただ。聞き手にとっては歌手の魅力をいろいろな角度から味わえるが、歌う方には相応の技術が求められる。やはり若い人が軽々とこなしているのを聞くと驚きを感じる。

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