最先端システム、実は人海戦術、実は戦略的かも

amazonの実店舗、amazon flesh に設置されたレジなし清算システムが、実は1000人以上の手作業で処理されていたそうだ。一見自動化されているように見えるが、実は手作業というシステムは、何も珍しいことではない。例えば各種の申し込みフォーマットなど、文字を入力し何箇所かチェックを入れて送信したものが、相手はメールとして受取っていて手作業で登録するのは普通のことだ。自動化されていると明言しているわけでもないし、そういうデータが直接データベースに取り込まれるのはむしろ危険だ。人間が途中で目を通すから正確に作業が進んでいる、という場合も多い。

面白いことに、IT化や自動化はクールで人間が関与するのは時代遅れというイメージが、21世紀になってもまだ一般社会の中に根強いらしい。amazon fleshの清算作業はインドで行われていたらしく、今は撤去されたというが、消費者にとってはレジ待ちがなくなるメリットに変わりはないのだからやめる必要はないだろう。また、インドではIT関連業種はどの職業カーストにもあてはまらないので、下位カースト層の重要なキャリアアップ手段になっている。時代遅れどころか、現代だからできる、これといって問題のないやり方だ。

さらにいえば、とりあえず手作業で清算業務をこなし、その間に現場トラブルなどのケーススタディを積み重ねていき、徐々に本物の自動化に置き換えていくというのは非常に合理的だ。そしてうまくいけば、ライバルを「今のところamazonにさえ不可能なシステムへの挑戦」へと、ミスリードさせることができるかもしれない。人海戦術でコストは上昇するかもしれないが、それこそ他社の参入障壁になる。そういうのを戦略的な資源投下というのではないだろうか。

ちなみに日本でも、例えば各種申し込みフォーム画面などでチェックボックスを切り替えても、実際の変更はそれを見た担当者が手動で行っているというような例は少なくない。本当なら最も合理化が進んでいるはずのIT業界で、締切の逼迫や残業が常態化しているというのも、そのへんが理由かもしれない。もっとも、それが戦略的だとは思えないが。

NASAのパーカー太陽探査機、19回目の太陽への接近を完了


NASAのパーカー太陽探査機は3月30日に19回目の太陽への接近を完了し、太陽表面から約451万マイル(726万キロメートル)まで接近し、自身の距離記録に並んだ。
この接近(近日点として知られる)は、3 月 29 日の協定世界時 2 時 21 分(東部夏時間 10 時 21 分)に発生し、パーカー太陽探査機は太陽の周りを時速 394,736 マイル(時速 635,266 キロメートル)で移動し、これもまた自身の記録に匹敵しました。宇宙船は4月2日に、メリーランド州ローレルにあるジョンズ・ホプキンス応用物理研究所のミッションオペレーターにチェックインし、宇宙船の設計と製造もここで行われ、ビーコンの音が良好ですべてのシステムが正常に動作していることを示した。

ここまでNASAのブログの抜粋。すべて順調ということで特に書くこともないが、そこが大したことだ。ちなみにNASAのブログにあるアニメーションを見ると、探査機はすでに出発地点である地球の軌道を離れて、金星と太陽の間だけで回っているのがわかる。何度も言ったり来たりしながら太陽に近づくさまは、まさに太陽系スケールの空中ブランコだ。

タイトル画像の話 / ボラード

船着き場にあって、もやい綱をひっかけるマッシュルームのような形をしたものは、「ボラード」という名前だと知った。ああいう不定形なものをCGで造形するのは苦手だが、挑戦してみたので、ついでに豪華客船も置いた。とはいえ、ただの壁で船体までは作っていないが、船に見えるだろうか。

豪華客船といえばタイタニックのような巨大な船は、船倉がいくつもの隔壁で仕切られていて、どこかが浸水しても防水扉で密閉できるので、本来なかなか沈まないものらしい。タイタニックの沈没は巨大氷山にぶつかったのが原因だが、激突というほどではなく、横っ腹を擦ったようなぶつかり方だった。大きなショックもなかったので、船長は持ちこたえるのではと期待したらしいが、傷は浅かったが長々と多くの隔室を横断していたので、閉鎖が追いつかなかったらしい。

昨年沈んだロシア黒海艦隊の旗艦モスクワの場合も、ミサイルの2発程度で沈むはずのない船だった。隠れるところのない海の上にいる戦艦は、ある程度の被弾は覚悟の上であり、浸水箇所はただちに船員が閉鎖してしまうはずなのだが、どうやら扉を閉める訓練をしっかりしなかったのもむざむざ沈没した原因のようだ。巨大船も、結局人間の力で浮いているということらしい。