最近よく手打ちうどんを作る。生でも茹でたものでも、既製品はコシが強くてノビにくいのは良いが、鍋焼きや煮込みにするとなかなか味が染みない。たまにはふやふやで味の染みたのが食べたくても、煮込みに妙に時間がかかる。これはタピオカ粉など、小麦粉以外のものが入ってるせいではないかと考えて、中力粉のみの手打ちうどんを作るようになった。
手打ちと言っても足踏み式である。薄いビニール袋だと破れてしまうし、たとえ新品でもゴミ袋などは使う気になれないが、米袋ならもともと食品が入っていたうえ丈夫なので、足踏みうどんにぴったりだ。
足踏み作業をしながら思いついたのが、煎り小麦粉うどんである。小麦粉の乾煎りは香ばしく独特の甘みが出るので、はったい粉、香煎と呼ばれて落雁などに使われる。また洋食ではホワイトソースづくりの時に小麦粉を茶色くなるまで煎ってブラウンソースにしたり、デミグラスソースのベースに使ったりするが、麺類に練り込んだ例は、検索しても出てこない。うどんでもパスタでも、ホウレンソウやカボチャなどが練り込んであるものはあるが、煎った小麦粉の例はない。さては「回鍋麺と白糸くずし」に続く、オリジナルメニュー誕生かと、日本語、英語以外の言語でも検索してみた。「イタリア、ブーリア地方の焦がし小麦粉入りオレキエッテ」というパスタ料理があったが、これは収穫の終わった麦畑を焼き畑し、更に残った小麦を拾ってたべたという故事から来たもので、煎ったというより、炭化した小麦が混じっているという感じだ。色も茶色ではなく灰色である。
自作してみた肝心の味は、ほんのりとした苦味と香ばしさを感じる。煎ったことで、ごく普通の小麦粉でも上質なものを使ったような小麦自身の香りが強調されるような気がする。知らなければ気が付かない程度かもしれないが、そのへんは焦がし具合や小麦粉への配合具合によりけりである。オリジナル感を出すのにも、いいかもしれない。