Bluesへの道

以前、マイナーとメジャーのブルース・ポジション表を作った。これを使って練習したせいか、最近はめきめきと...能書きだけは達者になった。

大人になってから楽器を始める人は、クラシックよりポピュラーを気軽に弾けるようになりたいという人が多いだろう。最初は簡単だがそれなりにかっこいい曲を練習し、徐々に難しい曲のレパートリーを増やしていく。そのうち聞いた曲をすぐ弾けるようになり、更にアドリブができれば御の字だ。そんなふうに考えている人は多いと思う。私もそう考えていたが、いくつか考え違いがあった。

まず、曲が簡単か難しいかは、ある程度上手くならないとわからない。プロが簡単に弾いているが、実は難しい曲もある。簡単な曲を簡単に弾くと、つまらない演奏になり、やる気が起こらなくなる。バイオリン初心者の練習曲「キラキラ星」はその典型だ。大の大人が人生の来し方を振り返って、思い入れたっぷりに熱演する、という曲ではない。ポピュラーやジャズをめざすバイオリン初心者には「テネシーワルツ」がよいようだ。

ただし、テネシーワルツの次にもう少し難しい曲、というふうに練習していっても、多分アドリブにはつながらない。アドリブがしたいなら、最初からアドリブをしなければならない。泳げるようになるには、まずはプールに入ること。ランニングと腕立て伏せだけ続けても、泳げるようにはならない。これに気がつくまで、多少時間と費用を費やしてしまった。

そしてアドリブができるようになるために、昔からブルースの練習から始めることになっている。アドリブのためにはコードの流れが頭に入ってなければならない。誰でも知ってるコードの流れは、小学校の集会で礼をする時のピアノだが、 よく知ってる曲でも、あれと同じようにコードだけ頭に思い浮かべるのは難しい。
その点、ブルースはどの曲も同じコードの構成になっていて、誰でもなんとなく流れが頭に入っている。もともとがコードをかき鳴らしながら、好き勝手な歌詞を歌い上げる音楽だったのだと思う。
ブルース・スケールの練習にあたって、海外のネットにはなかなか良いアドバイスがあった。

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1.楽譜には弊害がある
これはうすうす気がついていたが、ポピュラー曲は短いから、覚えてしまったほうが早い。むしろ、曲を覚えないで楽譜と楽器に交互に目を走らせながらの演奏など、とてもできない。また、楽譜に書いてあるのは骨格だけの、一番つまらない弾き方である。それに装飾音を加えたり、タメを作ったりして初めて音楽になる。ブルース・スケールも、楽譜に並べるとその順番に弾かないといけないような気になるので、このなかのどれでも、どの順番でもOKという意味で、ポジション表を作ったわけである。

2.音程よりリズム
まず正しい音程を覚えてから、リズムに乗せた演奏をと考えがちだが、これは悪いクセがついてしまう。不正確でもリズムに乗っていればそれは「下手な演奏」だが、リズムに乗ってなければ音程があっていてもただの雑音だ。特に大事なのは「シャッフル」とか「スウィング」とか言われる、タッタタッタというリズムにのせること。これをしないと、日本の民謡や演歌に聞こえてしまう。両者のスケールが似ているせいだ。

3.漫然と弾いてはいけない
「漫然と」というのは、メトロノームを使って、1音ずつの長さを正確にキープしながら弾くようなことをさす。必ず、シャッフルさせたり、ためを作ったりしてブルースに聞こえるように弾く。ブルース・スケールは、ブルースになるような音だけピックアップしたものなのだから、ブルースとして弾かないと「スケール練習」になってしまう。

4.空白を活かす
1小節4拍をすべて音で埋めてしまうと、それはそれで平坦に聞こえてしまうので、空白=無音の場所を作って、メリハリを効かせる。特に各小節の頭の1拍または半拍は音を出さず、途中から始めるようにすると「それらしさ」が増す。

というような点を意識しながら、伴奏動画と一緒に弾いていると、すぐにコツみたいなものがわかるはずだ。

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4 thoughts on “Bluesへの道

  • 7月 25, 2019 at 17:57
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    まだ楽器のせいにしています。高価な楽器はと言う前に、楽器に使うお金もなかなか手に入らないジレンマです。

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    • 7月 25, 2019 at 21:51
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      楽器のせいではなく、曲との相性かもしれませんよ。好きな曲と合ってる曲は、どうも違うようですね。好きな曲はどうしても高望みしてしまう感じです。

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  • 7月 25, 2019 at 13:34
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    人生でも音楽でも何度も挫折しています。音楽も団体で、或るパートのみを担当する吹奏楽、バイトで手伝ったバンド、数十年音楽を捨て、今になってもっと真面目にやっておけば良かったと。年を取ってからのレッスンは何故か、はかどらないですね。音楽も勉強と考えると、勉強嫌いの本性が邪魔をして、また挫折しそうなこの頃です。

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    • 7月 25, 2019 at 15:40
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      なかなかうまくいかないところも、味わいのうちだと思ってます。しっぱいばかりしてると、若い頃を思い出して、ちょっと嬉しくなってきますね。

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