Love Letters

ビクター ヤング(1899] – 1956)の曲。演奏はソニー・ロリンズ。

テンポにとらわれない叙情的なソロから始まって、ドラムとベースによるシンプルでリズミカルなトリオ演奏へ。サックスの醍醐味を味わい尽くすようなゾニー・ロリンズの演奏である。

アーチストによって、ソロ部分を新たな旋律として演奏する人と、リズムや和音の奔流として演奏する人がいる。ロニー・ロリンズは代表的な前者のプレイヤーだろう。また、どちらのタイプにも、あらかじめ引き出しにある十八番のフレーズを取り出してくる人と、本当の即興をする人がいて、彼は後者のタイプだろう。ステージでも次々新しいフレーズを紡ぎ出すあまり、打ち合わせを超えてソロ時間がどんどん延び、まわりの演奏者がテーマに戻るタイミングを測りかねてしまう、という光景を何度か見た。きっと冒頭のようなソロを、延々と拭き続けていられるのだろう。そんなふうにできたら、どんなに楽器が楽しいだろうと思う。

ところでこの動画には「Auto-generated by YouTube.」、You Tubeによって自動的に作られた、という文字がある。よく意味が分からないが、公式サイトだって管理者によって情報提供にマメだったりそうでなかったりする。過去のアルバムだけでなく、後に発掘されたライブや放送の動画もAIなどがきめ細かく拾い上げて、まとめてくれているのだとしたらうれしい限りだ。

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Lady Be Good

George Gershwin(1898 – 1937)の曲で、歌はSamara Joy。若い歌手だが、古いスタンダートを取り上げてくれるので、最近のお気に入りだ。

もともとはゆっくりした曲だが、ここではエラ・フィッツジェラルド風のソロ・スキャットを披露している。私は、エラ・フィッツジェラルドやサラ・ヴォーンから聞き始めたせいで、昔はジャズ・ヴォーカルといえばスキャットがつきもののように思っていたが、誰もができるものではないらしい。楽器でソロのメロディを作り出すだけでも大変なのに、歌詞(?)まで作らなければならないわけだ。

スキャットと言えば、その昔、サラ、ヴォーン日本公演のステージで、アンコールで歌ったバイバイブラックバードの歌詞をスキャットに変えていた。これは歌詞を忘れたんだと思うが、練習やジャムセッションなら、しょっちゅうやっていても不思議ではない。それをさらにアドリブのメロディで歌うようになったというあたりが始まりだったのかもしれない。 スキャットのヴォーカルは前から紹介したかったが、ようやく見つけた。存分に楽しんでほしい。
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Rhapsody in Blue

George Gershwin (1898 – 1937)の代表作とも言える名作。今回はデューク・エリントンバンドの演奏で。

サマータイムなど、ジャズの名曲も多いガーシュインだが、最も有名なこの曲はクラシックのオーケストラによる演奏が多い。そのせいで個人的にクラシック曲に分類して敬して遠ざけてきたのだが、さすがはエリントン、見事なジャズ化である。綿密に作り上げられた原曲のスコアを大胆にリハーモナイズしたことで、かえってガーシュインの黒人音楽への思い入れがくっきりと現れた感じがする。個人的には、交響曲としてよりこのアレンジのほうが好きだ。

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