キャラクターを作ってみた 2

Blenderで、再度キャラクター作りに挑戦した。前回はお面をつけたキャラクターを選んで、顔の製作をゴマかしてしまったので、今回はデフォルメにせよ人間の顔をなんとか仕上げてみたかったのだが、結局ゴマかすしかなかった。顔の製作は本当にむずかしいのだ。
胴体は、大したものではないにせよ曲がりなりにもできるのだが、顔は曲がりもしない。目、鼻、口はそれなりに並んでるつもりなのだが、どう調整しても「気持ち悪い」「下品」「不潔感がある」「馬鹿っぽい」など、人から言われたらショックな表情をしているように見えてしまう。それなりにがんばって作っているだけに、自分が言われているようないやーな気分がして、到底人前に出す気になれない。結局今回もお面のような顔でお茶を濁してしまった。

それに比べると、動画サイトやゲームで花盛りの3Dキャラは本当にうまい。幼稚なまでにデフォルメされてるが、作者はミケランジェロなみに人体を理解しているのではないかと思うほどだし、表情の変化はオスカー俳優かと思う。

今回モチーフにしたのはJESTERと呼ばれる道化師である。中世のヨーロッパを豚にした映画では、よく宮廷での宴会の席に登場する。アクロバットやジャグリングなどで来客を楽しませるエンターテイナーだった。
現代職業としては残っていないが、海外のいくつかの歴史祭りやハロウィンにはよく登場する。現代のサーカスなどのピエロ(英語ではクラウンという)との関係はよくわからない。

キャラクターを作ってみた

魅力的なキャラクターは3DCGの醍醐味の一つ。なのでBlenderで挑戦してみた。これまで建物パースなど、数値のわかりやすいものばかり作っていたので、意気込んで取り掛かったのだが。

これが、なかなか大変だった。見た通り簡単なキャラクターなので、体はすぐできたのだが、顔がなかなかうまくいかない。
以前、能面の面打ち師の方にお会いした際、能面というのは、ほんの紙一枚分削っただけで別人のようになってしまうという話をうかがった。また、光のあて具合で、喜んだり悲しんだりしているように見えるのだそうだが、こんな簡単なキャラクターでも、同じ難しさを味わった。

ちなみにモチーフはPlague Doctorといい、中世にペストが大感染したとき、現場で治療にあたった医師の姿である。口ばしとも鼻ともつかない奇妙なお面の先端には香草が詰められていたそうだ。病原菌の概念がなかった時代の、せめてもの対策だったというが効果はなかっただろう。

この姿で治療にあたったのは研修医などの若くて貧しい医師たちで、高い報酬が目当てだったが、当然真っ先に感染し、多くの者が犠牲になったという。
ネット上では、その独特の不気味さのため、やや悪魔的なキャラクターとして描かれることが多いが、現代の進んだ医療の、礎のそのまた礎となった気高い姿である。

Blenderの時代

私がCGを始めたのは、1987年に発売されたPersonal Linksから。演算はNECのPC9801が行っていたが、16色しか発色できなかったため、外部に画像専用の記憶装置が必要だった(※)。画像の作成もマウスで画面を見ながらというわけにはいかず、ひたすらコードを打ち込まなければならなかった。その後は、できたコードを演算させ走査線が1本ずつじわじわと画像が出来上がるのを待つのだが、1枚の画像を作るのに数時間、数日かかることもあった。

そうやって作った画像も、記憶装置に保存できるのは画面1枚分だけ。動画を作るとなると、記憶装置からビデオデッキに描き出しては新しい画面を計算させる作業を繰り返さなければならなかった。高めのPC、ソフトウェア、外部記憶装置、スタジオ用ビデオデッキなど、頭が痛くなるような費用がかかったが、回収は簡単だった。当時、北海道でそれだけの環境を持っていたのは自分くらいなものだったので、技術系企業などに対しては、表紙に自社ロゴが3D化された会社案内をプレゼンしただけで、ほぼ100%決まった。「少々お高くなりますが…」という料金だったが、企業にとっても表紙だけで””見るからに先進テクノロジー企業”であることをアピールでき、官庁などに対して効果抜群だったそうだから、ウィン・ウィンだった。

その後PCは外部記憶装置がなくてもフルカラーを扱えるようになり、ソフトウェアをインストールするだけで3DCGが作れるようになった。3Dソフトも大御所のMAYAをはじめ、いくつか選べるようになった。いずれもそう安いものではなかったが、PC自体のコスパも格段に上がったこともあって、最初の頃に比べれば手が出しやすくなっていた。そのころにはPersonal Linksは使えなくなって、操作を一から勉強し直さなければならなくなったが、必要な投資を恐れずにできるようになったのは、大きな財産だったと思う。

そして現在使っているのはBlender。なんと無償で使える3DCGソフトだ。単にCGの造形ができるだけでなく、生の動画にCGの造形を合成するなど、当時のことを思えば夢のようなシステムだ。無償だけあって、最新、最先端のシステムに比べれば見劣りするものの、最先端システムの、ほんの数年前のバージョンと同等の機能が揃っている。ネット上にはこれを使った作品が無数にあり、中には作品テーマ的に50代、60代、あるいはそれ以上の方ではないかと思われるものも少なくない。おそらくその昔、CGをやりたくても手が出なかった若者が、今になって夢がかなったということではないかと思う。

※)CGでフルカラーとは、R,G,Bの光の三原色が、それぞれ256階調使える状態のこと。つまり1粒の画素(ピクセル)が256x256x256の、1670万色を発色できる状態だ。CG画像を作るには、画面上のすべての画素の数x1670色分の情報をストックし、1秒間に30回表示しなければならないが、昔のPCは、メモリがまるで足りずにそれができなかった。そのため、画面1枚分の情報をストックするために、外部に専用記憶装置が必要だった。
また、ここまでしてで作り上げた画像も、直接受け取ってくれる印刷会社などはないので、東京の映画専用のフィルム現像所まで送り、ポジフィルムに焼いてもらわなければならなかった。
さらに動画となると、1コマ分が演算し終わるごとに、コマ撮り撮影可能なビデオデッキに書き出してしまって、記憶装置をからっぽにしなければならなかった。